中国の日本不動産の買い占め

こんにちは紺野昌彦です。

数年前ほど前から中国資本の日本の進出、いわゆる日本の土地の買収や企業買収、大型のリゾート開発などが少しづつ目立って来ています。

ネット上の評論では「中国の買い占め」「中国に浸透されている」「やがて中国に支配される」「これ以上増やしたくない」などネガティブ一色なのが目に付きます。

感情的にはそうでしょう。隣国であれだけ強大な面積を持ち、いつの間にかGDPでも日本を抜いて世界第2位ですからね。

これは中国とは尖閣諸島の領土問題や、また韓国とも竹島の問題など、日本の領土侵犯が頻繁に行われている背景からも、大きくバイアスがかかる部分なのかもしれません。

以前にこのブログでもその背景について触れたこともありますが、今回はもう少し深く掘り下げて説明と検証をしてみたいと思います。

結論から先に述べると、これらの中国資本の日本への進出や、土地の買収、企業買収などは、ほとんど脅威には、ならないと考えています。

こう書けば、親中的な考えの持ち主にも感じられるかもしれませんが全くそうではありません。

また感情的な反論も受けるかもしれませんので、細かく理論的に解説していきたいと思います。

 

お金は逃げ場所を求めている

中華マネーはメインランド中国を信用していない節を、ところどころで見て取る事ができます。ご存知かと思いますが、中国の人は政府をあまり信用していません。むしろ不安視の方が多いかもと。

一昔前に中国大陸の富は、USDとペッグしているHKDの香港へ、こぞってマネーフライトをていたり、オーストラリアやカナダへと資産フライトしていることも、多くの報道や統計から周知の事実でしょう。

当然、資産の保有という概念でも、複数通貨や、金融商品、不動産に分散保有する、また複数国で保有するのは、中国人だけではなく、世界的に見ても当たり前のセオリーであり、これは金融に疎い日本人的には通貨の分散保有という感覚には、馴染みの薄い部分かもしれません。

これは別段中国人だけではなく、世界ではごく当たり前な資産保有、管理の方法なのです。

僕でも日本円20%、HKD20%、USD20%、タイバーツ20%、中国元20%などと分散保有しているくらいです。当然複数の国々でです。

また僕は不動産に関しては、日本国内では法人名義はあっても、個人名義のものなどの保有はゼロです。逆にタイをはじめ今後成長が大きく見込めるアジア諸国には僕名義で複数保有している状況。

日本は固定資産税などでも所持しているだけでコストが高いですし、経済学部成長の伸びしろや地政学的に有利なところを選んでいます。

これって日本国内に傾向し過ぎている日本人には理解し難くても、グローバル基準で見ると実は当たり前の行為なのです。

 

中国人の日本の不動産の購入

以前にもこのブログで書きましたが、かつて中国人が日本の水源地の土地を購入している。これは水資源の確保であるなどの論調がネットやメディアで出回った事がありました。

かつて僕はその真相を自分の足で調べた事がありますが、富士山麓周辺の別荘地、軽井沢周辺の別荘地、駒ヶ岳周辺の別荘地また原野、北海道の山林や原野などが、中国人や中国資本に買われている事実は、実際に数多く存在しています。

結論から先に言えばこれは、水源地の買い占めではありません。

日本がバブル時代に別荘地として乱開発された宅地であり、当時半分も売れなかった閑散とした売れ残りの別荘地だったりします。

このエリアでの戸建の別荘でも1区画が日本円で300万円から500万円程度で購入できる、富裕層から見ると非常に安価なものであり、土地の坪単価も1万円から2万円もしないような低価格なものです。

これを日本の不動産に関しては知識薄で恩恵のない中国人に富士山が見える別荘、温泉が近くにあるなどどと称して、通常価格の3割も5割も高く売るのが流行している時期でもありました。

ようするに日本人は300万円でも200万円でも買いたくないところをわざわざ600万円、800万円、強いては1000万円以上で買ってくれていたのが真相でした。

中国も香港も土地の所有権は存在せず政府から定期借地権で借りるのみなので、自身に所有権を移転登記できる所有できるのは、素晴らしく青々と写った事でしょう。

中には体よく騙されているケースも多かったかもしれません。

もちろん今でも買い手も付かず、価格が下落一方のかつての別荘地を、法外な価格で外貨を日本に持ち込み購入してくれていることは、僕的には日本に取ってプラス以外なにものでもないと考えていました。

また理由あって購入する諸外国人も存在しました。それは今でも多いのです。

これは前述の通り中国人が資産のポートフォリオで一部資産を日本国内に移したいという心理からもあります。

外国人が日本で不動産を取得するために、印鑑証明を取得し、また銀行口座を開設する、また日本の公的サービスを受ける為には、日本政府の発行する在留認定書が必要となります。

そしてその次に日本政府の発行する経営管理ビザ、就労ビザ、永住ビザなどの在留認定を受けているビザの取得が必須となるのですが、その中で、一番簡単に取得できるのは経営管理ビザとなります。以前の投資経営ビザですね。


経営管理ビザ

この経営管理ビザを取得する時には、一般的には日本で法人を取得する、または日本に登記されている法人の取締役に就任することが必要となります。

この際に、外国人は資本金として最低500万円を海外の個人もしくは法人から日本に登記されている法人に出資しなくてはいけません。

そして法人企業の取締役に就任した時点でようやく、在留認定書の申請手続きが可能となるのです。

このように日本で不動産などの資産を購入するには、日本の法の制度が外国人の目の前に大きなハードルのように横たわっているのです。

またこの在留認定書が現地の日本大使館から給付されてはじめて日本の経営管理ビザが取得できるわけで、この時点でようやく日本で住民登録、また印鑑証明の登録、給付の手続きができるようになるのです。

不動産を登記したりするのに必要なことは、この時点でここまで来てようやく条件が整うのです。

もちろん日本での銀行口座の取得もです。

また証券口座の取得もそうでしょう。

資産を日本に移すにも銀行口座は必要ですからね。

もう少し詳しく説明すると最低500万円以上とは、設立した会社の株式を取得しているだけではNGです。

外国から持ち込んだ資本を日本に投資してる根拠、それも継続性のあることを示すことも、在留認定書の申請には必要となります。もちろん毎年チェックされます。高度人材に認定されている人に関しては2年、3年に一度と法改正で緩和されています。

実はこれは意外とハードルが高く、銀行預金や、保有株式などの金融資産ではいけません。事業投資か不動産投資などでなくてはいけないのです。

この先とうなるのかわからない中国人からすれば、いきなり3000万円、5000万円の投資はリスクかもしれません。なんせ500万円からでOKという日本の法の制度があるのになにも初回から5倍、10倍の投資は行わないでしょう。

そこで目をつけたのが、安価な田舎な土地、軽井沢郊外のかつての別荘地や、富士山麓の別荘地などなのです。

また経営管理ビザは、日本で継続的な投資を見込めるための経営方針や企画書を出入国管理局への提出も義務付けられています。同じ5000万円でも10回に分けて継続性を持たせる内容で、在留資格を取得する、継続する確率を大きく上げれるのです。

安価な土地を購入に次に貸し別荘を建てる、それを中国人相手に貸し出すなどのスキームが非常に安価に、経営管理ビザが取得できる手法だったわけです。

故意に水源地を狙っているわけではなく、閑散とした別荘が高原リゾート地だったので、そうなっただけでこんなカラクリがあるのです。

これは故意に日本の法制度がそのようにしているのです。

 

中国人が日本の不動産を買い占めるのは国策にかなっている

中国人が日本の不動産を買い占めているように見えるメカニズムのひとつは、実はこのような背景とパターンで、結論としては日本の法制度の結果なのです。

実はこの制度は結果としてのことだとは思うのですが、かなりプラスなのではと僕は考えています。

先ほどのように、これまで誰も買わなかった土地を購入してくれている、しかも外貨を持ち込んでいる。これは潜在的に日本の外貨準備高の増につながります。

また中国人の資産が日本国内に増えることは、日本からして安全保障上でも理に叶っています。

日本には外国人の参政権はありません。将来外国人参政権が認められる事はかなり高い可能性から無いでしょう。余談としてアメリカやカナダのように移民で大きく構成される国は別でしょうけど。

ようするに法に対して外国人が、意を唱える制度は全く存在しません。今後も現れる可能性は極めて低いでしょう。イコール仮に日本の土地の30%くらいが外国資本になったとしても、それを縛る法は日本人でないと行使できない仕組みが横たわっています。おそらくは世界中の大半の国ではそうでしょう。

それともう一つ、最近も韓国で発生した事を多くの皆さんもご存知でしょう。日本企業の韓国にある資産の凍結。

それぞれの国は、国内にある外国資産を凍結する力があるのです。国々の関係が極度に悪化した場合、制裁措置として外国資産の凍結という強硬手段に国は出ることがありますが、それだけ主権国家の法規的措置、超法規的措置は効力が大きいのです。

中国の個人、企業の資産が日本国内に多く滞留するということは、体裁の良い言わば人質という側面もあり、日本の安全保障上でも大いにメリットがあるのです。正直現時点では中国の規模感からすると少なすぎるでしょう。

中国資本が海外に資産フライトが増加するこれはイコール中国国内に不安感や陰りを感じてる証拠なので、むしろ感情論など捨てて積極的に抱き込むべきなのです。それって経済成長した中国に滞留する莫大な資本を、また日本に還流させているだけでもあるんですよ。

 

中国に進出している日本企業数

近年、中国人資本が日本の不動産を購入している、また中国企業が日本でリゾート開発を始めていることに対するアレルギーが目に付くことがありますが、日本から中国に進出している企業数から見ると、ほんの氷山の一角レベルの数だったりします。

今では中国はレッドオーシャンとは言われてながらここ数年で更に、日本から中国へ進出する日本企業は増加傾向なのは皆さんご存知でしょうか。

下記は外務省統計資料からの中国と米国の日系企業数。

2009年 中国 25764社 2009年 米国 5460社
2012年 中国 31060社 2012年 米国 6899社
2016年 中国 32313社 2016年 米国 8422社

現在中国で創業している日本企業はこれよりも増加している事が考えられますが、これだけの日本企業が、中国で製造拠点を設けたり飲食店進出していたり、またはショッピングモールなどの大型店などの資本を投下しています。おそらくはその額は統計はちょっと調べてはいませんが、相当な金額であることは間違いないでしょう。

ようするに日本、日本企業はこれだけの日本の資産を中国に置いているということにもなるのです。

日本が外交上、中国には強気に出ない、また敢えて出ないようにしているのは、これらの中国国内にある日系資産や企業を守るためもあったりするわけです。

先の韓国での一件でも日本は大使を召喚しないのは、現地にまだ根を張る日系企業の保護のためでもあるわけで、国際的な問題があってもそう簡単に経済封鎖やなんやとできない構造がここにはあるのです。それは日本が経済大国であるからです。

このような背景もあり、同じように中国資本が日本国内に資産を持ち、生業を立てることは実は日本にとって大きな安全保障に繋がる行為なのです。

中国の経済成長は始まってここ20年位の事なので海外の収益拠点を広げ持ち出しているのはちょうどいい今なのです。

また内政不安視と、国内マーケットから海外へと資産のポートフォリオの為に是が非でも資産の一部を外に出したいのです。

この証拠に中国政府はここ3年くらいから躍起になり中国国内の資産の海外逃亡を制御しています。それは銀行やファンドなどの中国国内の金融投資機関でも例外ではありません。中国の大手ファンドでも北海道のスキーリゾート、サホロスキー場を買収した際に、中国当局に身柄を拘束されました。

 

インバウンドは上り調子でこれも国策

また今の日本のおける背景には、インバウンドが上り調子であることも理解しないといけません。
これは日本政府が政策を持って増加させている背景があるのは皆さんもご存知でしょう。

もちろん近年ではアジアの諸外国の所得が大幅に上昇を始めたおかげで、アジア中で移動人口が増加したのも諸外国各地でインバウンド、アウトバウンドが増加している現状となったのは、自然の摂理ではありますが、この諸外国の所得の増加に合わせて日本国の国策で、アジア諸国の人々が日本に入国する際に必要なビザを段階ごとに緩和をして、日本に誘導しているのは、日本政府の作為なのです。

中国人の数次ビザの発行、タイ、マレーシアの数次ビザ発行と続き、近いうちにはノービザ化にも進むでしょう。近年インドネシア、ベトナムなども数次ビザ化するでしょう。

そうすると現在の3300万人の日本のインバウンドが4000万人、6000万人などと増加するのは全く持って実現可能でしょう。

実は数次ビザなどは聞こえは良くても、非常に面倒な手続きもあり、完全ノービザ化という切り札は日本は五輪後に使用するのかなと僕は感じています。

余談が長くなりましたが、こうなると成長市場の日本のインバウンド市場に外資が目を向けないわけがありません。

現在の中国をはじめとする日本の不動産投資やホテル開発やリゾート開発は、これこそ日本の国策の延長上であることなのです。

投資を海外から呼び込むのは、国に取って当たり前の国策であり、長きに渡り高度成長という内需に支えられた日本人が、かつての日本を未だに引きずっている感傷でしかありません。

極論では、日本が中国国内に置いている民間資産と同額くらいは日本国内に置いてもらう方がいいのです。それでも人口比から見ても少ないかもしれないのです。

もちろんそうなると、中国もデリケートな部分は触りにくくなりますし、迂闊に国外の中国人資産が脅かされる環境が発生すれば、中国政府に対する威信、信認にも大きく影を落とすことにも繋がるからです。

重ねて言いますが、このように諸外国人を多く招き、親日になって頂き、日本の資産を持ってもらう。
外国人は地方参政権すらありませんから議決権なしの優先株を持つ株主になってもらってるようなものなのです。

この方向へ政策を持って意識的に進めているのは、今期予算で最新鋭戦闘機の「F35」を60機導入し、「護衛艦かが」を甲板増強して戦後初となる航空母艦を配備させたい日本国政府の国策なのです。

基本僕は反対ではありません。
安全保障と相互理解と融和には近道を思っているからです。

あと中国人が日本不動産を買い占めている。この論調にはやや語弊もあります。

僕はここ4年北海道土地の調査をかなり細部にわたり行っていました。ニセコや留寿都、キロロやトマムなど多くのエリアが人気を高まっています。

中国人が買っている。それはウソ。

ぱっと見は、北京語、広東語など中国語こそを話していますが、残念ですがこれこそバイアス。実体はシンガポール人、香港人、台湾人、マレー系華僑が圧倒的で中国人は、ニセコ、留寿都付近では5%未満です。実際に現地の外国人向けハウジングメーカー、外資系ディベロッパー数社でヒアリング調べました。

それより多いのは欧米人です。欧米系だけで全体の40%から50%にシェアがありました。

つづく

紺野昌彦

紺野昌彦

 

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