更なるインバウンドの増加
こんにちは紺野昌彦です。
先日、視察を兼ねて京都へ足を運んで来ました。京都は僕が学生時代を過ごした街でもあり、それなりに地の利もあり、古今も比較出来るところでもあります。
学生自分はかれこれ30年近く昔ですので、当時は今のような外国人の数を目にすることはありませんでした。
京都のインバウンド数は2009年からの統計では7倍の増加率。
2018年の訪日インバウンド数は3119万人と、3000万人の大台を超えました。
これは北海道の地震や、中国、四国地方の水害など多くの天災に見舞われながらの増加ですので、このような背景がなければもう少しの伸び率を見せたかもしれません。
この中でロシアのビザ発給の要件緩和で、ロシア人の訪日者数が22.7%も増加しています。
注目すべき点の一つがこのビザの緩和です。
これまで日本に渡航する際に、面倒な手続きの必要であったロシア人の日本渡航の際のビザが緩和されただけで、日本への渡航者数は20%以上も増加しています。
昨年3000万人台の大台を超えた訪日インバウンドで、中国人が占める割合は約800万人と多いのですが、この中国から日本への渡航もビザが緩和されたと言えども数次ビザで、ノービザ化はされておらず、中国人からすると割と面倒な手続きが存在するのです。
また東南アジアからはタイ人の訪日インバウンドも初の100万人を超えました。これはノービザではありますが、15日間滞在で往復航空券や宿泊先の予約済み証明などの提示で入国が認められています。
このようにビザ発給の緩和や、ノービザ化することにより、その国よりかなり多くの訪日インバウンドを増加させることが可能なのです。
前述のメインランド中国もそうでしょう。
仮に完全ノービザ化などすれば、一瞬で1500万人から2000万人は増加するかもしれません。
東南アジアだけでも日本に入国する際にビザが必要な国が7ヵ国もまだあり、総人口で約6億人以上がASEAN圏内には居住しています。
また中国も約14億人も人口を抱えているわけで、これらの国々へ発給するビザの緩和を段階的に執り行うだけで、日本はインバウンド数をコントロール出来たりするわけです。
日本政府観光庁の示す指標で、インバウンドが4000万人、そして6000万人まで計画があるのはある意味で頷ける指標なのです。
こうなると空港整備も必要なわけですが、現在日本都市別で世界的にインバウンドの増加でトップスリーを取っている、沖縄、大阪、京都ですが、沖縄は2019年3月に下地島空港の国際空港として開港、引き続き那覇空港も第二滑走路が2020年には完成します。
そして関空も第二滑走路の運用本格化されますし、成田空港も第三滑走路の工事着工にも入ります。このように今の所は主要な空の玄関口は、いいペースでの格調が進んでいるのではないでしょうか。
さて先程、インバウンドの増加率ランキングについて記述しましたが、世界中での人気急上昇エリアのトップスリーが日本の都市なのは、皆さんご存知でしょうか?
日本の都市別ではなく、世界ランキングでです。(人気上昇率)
1位 | 沖縄 | 39.2% |
2位 | 京都 | 27.8% |
3位 | 大阪 | 23.6% |
4位 | 成都(チェンドゥ、中国) | 21.6% |
5位 | 厦門(アモイ、中国) | 20.5% |
6位 | プーケット(タイ) | 18.5% |
7位 | 北海道 | 18.4% |
8位 | アブダビ(アラブ首長国連邦) | 18.2% |
9位 | ハノイ(ベトナム) | 17.7% |
10位 | コロンボ(スリランカ) | 16.9% |
このように現時点での日本に対する訪日ビザの緩和が無くても高い増加率があり、今後順次ビザの緩和がなされる毎に、日本のインバウンドは増加することが見込めます。
これはアジア諸外国で知日派、親日派を増加させる事にも繋がり、経済だけではなく安全保障上にも有効な事なのです。
例えば日本人は、お隣中国や中国人に対して良い印象を持っていない人も多いですが、仕事でよく中国に足を運ぶ、また旅行で中国に何度か行ったことがある人は、差ほど中国嫌いの方はいません。
このように知ると知らなとでは多いに印象も違って来るものだったりします。
次の表は訪日インバウンドの国別で増加率を示したものです。前述のとおり完全にノービザ化していない中国がトップで800万人オーバー。
もちろんビザだけの要因ではなく、中国自体の平気所得の上昇や、LCC路線の増加など様々な要素は含まれますが、それでも一番の要素は数次ビザが大きいでしょう。
またお隣の韓国も現在、対日関係は悪化の一途ですが、先の報道であったように、現地の日本企業資産の凍結や差押え以上に日本との経済関係は密接なので、日本政府が制裁活動に出ないのもこの数字から頷けると思います。
国名 | 人口(万人) | 前年比(万人) | パーセンテージ(%) |
中国 | 838.0 | 102.4 増 | 13.9% 増 |
韓国 | 753.9 | 39.8 増 | 5.9% 増 |
台湾 | 475.7 | 19.3 増 | 4.2% 増 |
ベトナム | 38.9 | 8.0 増 | 26.0% 増 |
ロシア | 9.4 | 1.7 増 | 22.7% 増 |
スペイン | 11.8 | 1.9 増 | 19.1% 増 |
米国 | 152.6 | 15.1 増 | 11.0% 増 |
英国 | 33.4 | 2.3 増 | 7.6% 増 |
この後、日本では東京オリンピック、大阪万博、そしてG20と国際的にアピールできるイベントが立て続けに続き、カジノいわゆるIRも本格的に動きが始まっており、大きくインバウンドに効果のある流れが続きます。
また先だってブログにも書きましたが、2022年には北京冬期五輪もあり、またアジアの富裕層も増加傾向です。
すなわちウインタースポーツ人口もアジアでは大幅に増加する事も見込まれており、アジアで唯一パウダースノーを体験できる日本は益々面白い事になるのではないでしょうか。
自国のポテンシャル、それと近隣国に対するビザを日本政府が段階的に緩和していく。
3億人弱のインドネシア、やがて人口が1億人になるベトナムやフィリピン。ASEANと中国だけで20億人を超える人口が存在しています。
これが日本がインバウンドを継続的に増加させる方法でもあるのです。
紺野昌彦