全国のIR(カジノ)の状況と推察
こんにちは紺野昌彦です。
IR統合型リゾートいわゆる日本版カジノですが、2018年7月20日に法令化されてから既に1年が経過しました。
日本は現在インバウント景気が継続しており、予想より早い速度でインバウンド数が増加しています。
昨年2018年の段階で既に3000万人の諸外国人が日本を訪れており、2030年には6000万人となる試算ならび数値目標として、日本政府観光庁のサイトで出ています。
日本の対外的に外国人の誘致をPRできるイベントは今後こそ本番なのもあるでしょう。
2020年 | 東京五輪 | 首都圏 |
2025年 | 大阪万博 | 大阪府 |
2022年 | IR統合型リゾート | 3都市指定 |
2025年 | IR統合型リゾート | 2都市指定 |
インバウントに大きく影響するイベントだけでも2025年まで継続しています。
皆さんもご存知のとおり東京五輪や万国博覧会のようなイベントに投資される資本の多くは税金です。
ですが、IR統合型リゾート、いわゆるカジノの建設で使用される資本は大半が外国企業が国外から日本国内に持ち込む外資で賄われることになるでしょう。
オリンピックでの投下資本は一説では1兆7000億円とも数字が出ておりますが、これはあくまでも直接投資額なので間接的な投資額がそれ以上です。もちろん前述のとおり多くは税金と国内資本で構成されています。
ですがIR統合型リゾート(カジノ)の施設は、1施設が約1兆円規模と試算されていますが、この規模の施設が投下資本に前後はあったとしても、全国に5施設で計5兆円もしくはそれ以上の資本投下が予想されています。もちろんこれは税金ではなく、大半が外国事業者が国外から日本国内に持ち込む資本です。当然一部は日本企業と外国カジノ企業とのコンソーシアムも予想されますが、過半数以上は外貨での構成となるでしょう。
IR誘致を実施している地方自治体
さてそんなインバウンドですが、全国で有力な候補地がどれくらいあるのでしょうか?
最新の情報ではIRの都市の確定まで若干時期が伸びた感があります。
おおむね2022年前後にははじめの3都市が決定するとの見込みですので、以下の表では2022年という記述にしています。
また2回目のライセンス交付が2025年もしくは26年との見込みですので、次回の交付を目標としている地方自治体は2025年と表記しましした。
北海道 | 留寿都村 | 2022年 |
北海道 | 苫小牧市 | 2022年 |
千葉県 | 千葉市(幕張) | 2025年 |
東京都 | ーーー | ーーー |
神奈川県 | 横浜市 | ーーー |
愛知県 | 常滑市 | 2022年 |
大阪府 | 大阪市(夢洲) | 2022年 |
和歌山県 | 和歌山市 | 2022年 |
長崎県 | 佐世保市 | 2022年 |
沖縄県 | ーーー | ーーー |
現在有力な候補地としては10都市が名乗りをあげています。
これら候補地の中でも最も有力な候補地とその様子をピックアップしました。
首都圏は政府自民党ではどうしても欲しいエリアの一つです。
その背景は最も国会議員の数も多く、積極的に動けば多数派工作も有利に動く地域であり、有権者の数すなわち恩恵を受ける企業や地権者も多いからでしょう。
北海道に関してはJR北海道が160億円の債務があり、これへ救済措置として北海道へのIRは欲しいところでしょう。
また本来は沖縄ありきのIR法であったことも忘れてはいけません。
沖縄県が仲井眞県政時代には政府からIR調査費として3000万円が交付されている事実もあり、実際にIRを実施する前提での調査も進んでいました。
首都圏のIR誘致合戦の様相
東京都
現在準備中の東京オリンピックの準備に追われているのと、現在の都知事の小池知事が政府自民党との関係がよろしくないこともあるでしょう。東京都は動きはあるものの、現在積極的な誘致には至っておりません。
おそらくは東京都が動けるのは2025年以降の2回目のライセンス交付と見てもよいでしょう。
また企業数、議員数から見ても相当な利権争いも発生することも予想されるのでそう簡単ではないでしょう。
神奈川県
カジノ企業だけでも12社が横浜市を指名している現状がその人気度を伺わせます。海外のカジノ企業の中で最も人気がある候補地がここ神奈川県横浜市です。
元々日本でも最有力の候補地として名乗りをあげていましたが、2019年1月に地元の経済界を中心にIRに否定的な反対が判明し、事実上棚上げ状態となっています。
この東京を含む大都市2都市は、予想以上に難航が予想され2022年までにまとまることは難しいかもしれません。
個人的な予想では難しいでしょう。
千葉県
千葉県千葉市はちょうど1年半ほど前から水面下でIRの計画がスタートして、表面化したのが昨年暮れくらいからです。ここ首都圏で急速に頭角を表したのが千葉県千葉市です。
ダークホースのように隠れていたのは、千葉市としては明確に表明していない事が一番の理由でしょう。
現時点でも千葉市の熊谷市長は明確には言明していませんが、可能性としての調査の表明は先月公にしています。2019年の8月22日を締切としてカジノ企業から意向調査を募集しました。また同年10月には8月22日までに意向を示したカジノ企業からマスタープランの公募も表明しています。
東京都と神奈川県が出遅れ仮に千葉市でIR誘致が実現すれば、東京、神奈川の二箇所は近すぎる事が懸念されて事実上脱落する可能性も高くなるでしょう。
また千葉県は衆議院選挙区が13選挙区あり、このうち12選挙区で自民党が議席を有しているのも有利なところでしょう。県議会も過半数以上が自民党です。
北海道のIR誘致合戦の様相
留寿都村VS苫小牧市
日本でも最も早くから誘致活動に専念している地方自治体も多く、その歴史は9年前からの活動が見られます。北海道はこれまで全国で一番のカジノ誘致合戦の激戦地でした。
留寿都村のルスツリゾートを運営する加森観光がいち早く名乗りをあげていました。函館市も2014に一度カジノ構想を出しましたが、その後の市長選で推進派が敗退している経緯があります。この他、苫小牧市、釧路市、北広島市とペナントレースに名を連ねる事態となりましたが、現時点では留寿都村と苫小牧市の一騎打ちという状況でしょう。
前県政時代の有識者会議では、苫小牧市が妥当であるという見解が出て、一気に留寿都村を苫小牧市が出し抜いた経緯があり、北海道では苫小牧市が優勢となりました。
ただ現時点で苫小牧市ではカジノ構想に反対する市民活動による署名が2万人を超えたとかで、大きく影を落としているのも否めません。
また2019年4月に同知事選挙が実施され、新たに鈴木新知事が誕生しましたが、この新知事を後押しした票田でもある札幌市を選挙区とした衆議院議員の船橋氏の後援会長はルスツリゾートの加森会長でもあり、また同じく新知事を大きくバックアップした衆議院議員の中村氏も留寿都村がある北海道4区でもあるので、今後の動向では一気に留寿都村が優勢になる可能性も高いと見ています。
大阪府
この中で最も有力なのがMGMと言われていますが、その根拠の一つにMGMだったのは、ラスベガス・サンズが本来は横浜市をメインターゲットにしていた経緯があったからす。横浜市が前述のように急に意気消沈したのもあり、ラスベガス・サンズも半年間は鳴りを潜めており、日本のIRでのカジノ進出は見合わせたとの観測も出ていました。ですが、今年6月18日の発表では、日本で最も魅力あるIR候補地は大阪市であると表明しています。圧倒的優位の地方自治体は大阪市でしょう。
ほぼ確定視されている話は、情報通からも議員会館からもよく聞きます。
よっぽどのスキャンダルなどの不祥事がない限り大阪市は確定と見られています。全国的にも横浜についで外国カジノ企業から人気のある都市でもあり、カジノ企業でも最有力のMGM、ラスベガス・サンズを筆頭に、メルコ、ウィン、シーザーズ、ゲンティンと巨大カジノ企業が名乗りを上げています。
ここで特筆しておきたいことは、米国のトランプ大統領の最大の支援企業はここラスベガス・サンズであり、選挙資金として2000万USDを寄付したとも言われているところです。この消沈している状況で、突如としてサンズが名乗りをあげたのも、ちょうどトランプ大統領が6月に来日した後であり、大阪サミットの直後であったのは偶然ではないと僕は感じています。
ということで大阪は確実であり、そして高い可能性でラスベガス・サンズそして第2候補としてMGMになるのではと見ています。
沖縄県
ただしIRのライセンス交付が初回が2022年前後、2回目が2025年と次回の知事選後に交付次期があるので、現在でも可能性がなくなったわけではありません。正直に言うと現在は主だった動きは観測されていません。
2018年の沖縄県知事選挙でIRに否定的な知事が誕生したこともあり、沖縄県ではIRに積極的な市町村は現在ありませんが、以前にはIR誘致に興味を持つ沖縄の地方自治体が3自治体ありました。
前述のとおり、元々IRに関する議論は沖縄県ありきだったのもあり、22年以降に沖縄県に交付される可能性も十分にあります。
また沖縄には沖縄振興特別措置法という特別法があり、この法の延期も同期間に議論もされるでしょう。この法を活用したIR誘致も一部では議論されており、沖縄が有力高土地となる日が近々来るのではと考えています。
以下は主なカジノ企業の進出希望都市の例。
もちろんまだまだ複数企業があるので、これらのカジノ企業とその思惑は後日紹介します。
ちなみにこれらの企業のCEOや日本法人代表、また本社役員などとは複数回交流したこともあるのでそれも踏まえてレポートしていと思います。
ラスベガス・サンズ | アメリカ | 大阪市・横浜市 |
MGM | アメリカ | 大阪市・横浜市 |
ウィンリゾーツ | アメリカ | 大阪市・横浜市 |
シーザーズ | アメリカ | 苫小牧・大阪市・横浜市 |
ハードロック | アメリカ | 苫小牧 |
メルコリゾーツ | 香港(マカオ) | 大阪市・横浜市 |
ギャラクシーエンターテイメント | マカオ | 大阪市・横浜市 |
ゲンティン | マレーシア | 大阪市・横浜市 |
グループ・ルシアン・バリエール | フランス | 和歌山市 |
クレアベスト | カナダ | 苫小牧市 |