海外不動産を経済の発展レベルで考察する
海外不動産を経済の発展レベルで考察する。
仕事の関係で私は移動が多く、1ヶ月で3カ国か4カ国を回ります。主に日本、タイ、カンボジア、ミャンマー、香港、台湾、中国。たまにミャンマー、マレーシア、ブルネイ。
そのメインは不動産投資へのサポート。本来は不動産業ではないのですが、実態として現在でもその中核になりつつあります。
特に現在は不動産で言えばタイ不動産、カンボジア不動産に注力をおいています。
そんな不動産価格や利回りの傾向は、国々の経済の発展過程や投資のリテラシーで変わります。
既に経済が成熟し、発展過程のMAXにまで至った日本。人口ボーナス期が過ぎて人口規模だけで見ると減少期に入っていのは、皆さんもご存知の通りでしょう。経済も国単位から地域単位にシフトしてアジア広域で製造、流通、販売とが並行産業化した関係で、日本企業の海外への流出も後を断ちません。隣国に在住する日本人の数も数十万人のレベルです。全てがグローバル化しつつある流れで隣国でもこれだけ成熟度に違いがあるのは知っておきたいところです。
発展度150の東京不動産
日本の不動産でも、一番価格や利回りが安定しているのは都市部であり特に東京です。
それは低迷期でも唯一値下げ幅が低く価格が安定しているからでしょう。
要するに人口減少期に入った今でも、地方からの流入人口増加で、年間2%前後の人口の増加が見られるからでしょうか。東京都2000万人人口で2%の増加と仮定すると、年間40万人の増加で、それは地方都市1つ2つ分の人口増加を意味します。
それだけ住宅需要があり、消費が起こるので東京の経済は強いのでしょう。それでも過去最高の空室率となっているエリアもでつつありますが。
国内の新築物件の利回りは3%から8%前後で、築年数が古く資産価値が減少している物件では10%から15%も目に付きますが、日本全体の人口減少から考えると、今後は新たな客付けが難しく、一定の利回り、落ない価値を求めるには都市部の優良地域に限定されてくる傾向が伺えます。
要するに成熟経済に達している日本経済は今後は経験のない領域に入っていきます。
少子高齢化による、住宅需要の減少、高齢化世帯への賃貸、外国人流入人口に対する賃貸などがそれに当たるでしょう。既に報道などで、高齢者の孤独死が発見され、身元を確認したのはさらに高齢の親類であったりるのは珍しくなくなっています。また流入する中国人労働者に対する住居提供でも保証人の問題や、新たにクリアしなければならない課題も大きいようです。
また地方都市では人口の減少、流出などから空室率も上昇し、価格下落に拍車がかかっているのも成熟期の日本不動産の特徴かもしれません。
このように経済の発展ステージにそって東南アジアの国々においても経済成長期を迎えつつある地域も多くあります。
発展度120の香港不動産
不動産利回り2%から4%
物件価格3500万円から(新築と中古の価格差が激しいので平均値は出していません)
※40㎡中古3500万円から新築1億円以上(地域築年数により大きく異なる)
不動産の土地神話の代表的な存在は香港不動産でしょう。
香港不動産の現在の平均的な不動産利回りは2%から5%です。(5%はプレビルドなどで安価に購入できた場合)
地価の上昇や不動産物件の価格高騰は凄まじく、10年でほぼ4倍の価格に上昇しています。
香港の不動産は40㎡前後の1ベッドルームの販売価格で1億円は珍しくありません。想定賃料が30万円前後ですので、4%の利回りが出たら十分といった感じです。
ですが香港はインカムゲインは非課税ですので、賃貸所得に対して日本のような重課税に悩まされることはないようです。
また銀行金利が日本と同じようにほぼゼロに近いので、物件担保での融資もスムーズだったり、担保額にもよりますが金利もそれほど高くないようです。また金利そのものが低いので流動資産は金融資産や不動産に姿を変えやすい金融都市香港ならではの傾向があります。
このように急激に発展した経緯は、香港が変換された年が人口450万人弱だったのが約15年が過ぎた現在では約700万人に増加しています。これは大陸(メインランド)からの流入が大半で中国からの富を同時にもたらしており、それによる急激な地価、物価の上昇が発生した主な原因でしょう。この人口増加率(香港政庁の調整で)香港不動産の価格に大きく反映されてるのも否めません。
香港は不動産下落になると数年前から予測されていますが、可能性濃厚かと感じています。(一過性ではあるでしょうが)先月の大陸からの入域規制や、物価を抑えるように香港政庁の政策が感じられるのと、滞在していると実質的に無理が来ているのを肌で感じます。
。10から20%程度落ちてまた上昇する感じではないでしょうか?地方というものが存在しない香港は、いわば東京規模の経済都市が独立性を持っているので、価格の高騰が原因で調整という下落がそろそろという程度で、経済不況による大きな下落は考えにくいのかと考えています。大陸との富の調製弁を持つ香港の強みでしょう。
発展度80%のマレーシア不動産
マレーシア不動産は平均利回り3%から5%(外国人購入枠)ローカルでは8%前後のようです。
物件価格2000万円から(ヒアリングした会社の数字より)次にマレーシア不動産ですが、マレーシアではクアラルンプールやジョホールバルが諸外国人の不動産投資では有名ですが、当初からインカムゲインではなくキャピタルゲインがメインとされています。
それは外国人の不動産購入価格に加減が設けられているからでしょう。
一昨年までは、外国人が購入する不動産は、1400万円以上などと制限がありましたが、実際の現地価格ではそれ以下で十分な物件が出回っていました。なので購入価格から賃貸価格を見ると2%から3%の利回りが出れば十分とう物件も多く、ローン購入した場合は少し賃貸価格が下がればたちまち持ち出しということも考えなければ行けない投資となる恐れがあります。
また現在はマレーシアで外国人が購入できる不動産は2000万円、3000万円以上です(州により価格設定は異なります)
当然税制の違いもありインカムゲイン、キャピタルゲイン共に課税対象で、固定資産税もあります。
東南アジアの中でも経済が安定しているのが特徴で、この背景からマレーシア不動産も安定しているようすです。所得水準でみるとシンガポール、ブルネイに次ぐポジションで、所得水準でシンガポールの次に先進国入りすると言われています。人口の約35%が中華系が占めてるので、マレー語、中国語、英語とトライリンガル国家という背景が経済発展を加速させて来た背景があります。またイスラム国家でもあるので、この発展性からイスラム先進国という異名も持っているのがマレーシアです。ただ人口規模が2800万人と国土の割に小さく、外国人のコンドミニアムの所有もシンガポールの政策に影響してか、一定の資本と共に入国すれば永住ビザを発給するという国策でした。結果としては人口の流入より投機マネーの流入が先立ちバブル化が懸念され、一昨年の外国人の取得不動産の加減が調整されたように言われています。
このようにまだまだマレーシア不動産も経済発展の最中でもあり、これから人口ボーナス期を迎えるマレーシアですので、投資のチャンスは大きいでしょう。ただし価格制限のある外国人所有の認められたコンドミニアムなどの不動産投資はNGでしょう。ノミニーでローカル物件に投資するか、コンドミニアムのプロジェクト自体に資本参加するなどの作戦は必要でしょう。マレーシア所得水準で先進国入りするのは近い国です。
発展度60%のタイ不動産
タイ不動産の平均利回り6%から9%
物件価格400万円台から購入可能(平均購入価格は平均800万円前後)
※販売実績よりタイ不動産は地域により異なりますが、現在6%から9%前後利回りが平均的と言われています。
他の東南アジア諸国と違い既にタイは人口ボーナス期を終え、人口増加率はやや横ばい傾向ですが、日本の東京と同じ一極集中でバンコクへの集中が目立ちます。このメカニズムからバンコクの不動産価格は下がりにくい背景があると考えてよいかと思います。
これと並行して、日本と異なるのは日本は高度成長を遂げた後に人口ボーナス期を迎えていますが、タイは人口ボーナス期を終えた後に経済の高度成長を始め所得が増加に向かっていることがあげられます。これは今度所得の増加と共に、マイホームを求めるマーケットの成熟も意味します。
またマレーシアと同じくタイは中進国で、今後両国共に10年で所得水準は先進国入りすると考えられているので、経済成長に合わせたCPI(物価指数)の上昇でタイ不動産はキャピタルゲインもインカムゲインも望める国だと考えています。地価の上昇は一定以上のスピードで継続しており、タイの不動産価格は中心部では年15%から20%の上昇が見られます。ここ10年が成長の継続大きくが見られる期間かと考えられます。
またASEAN統合でAECが誕生すると地政学的に見てあらゆるアジアのハブとして機能すると考えられていますので、隣国からの流入人口が増加することが考えられます。現在のバンコクの人口は住民登録上800万人ですが、実際には地方、隣国からの流入人口で1200万人から1300万人くらいではないかと思いますが、AEC誕生で2000万人都市も実現する可能性も濃厚です。そうなるとタイ不動産の住宅事情に大きく現れるでしょう。
またタイ不動産は市民税、固定資産税、相続税、贈与税がないのが大きなメリットです。
日本の税法の改訂で、5000万円未満の海外資産は申告義務がなくなりましたので、海外にプールする資産形成にはベターな安定度でしょう。
発展度30%のカンボジア不動産
カンボジア不動産平均利回り12から15%
物件価格200万円代から購入可能(平均購入価格は平均450万円前後)
※販売実績よりカンボジアの不動産は発展度は一番低い指数となります。アジア圏の中ではフィリピンに並び低い存在なのが、カンボジアです。
ですがこの指数の低さは発展段階を表すもので、そのまま成長率と今後のポテンシャルを示すものと考えてよいでしょう。この数字に合わせたようにカンボジア不動産の取得価格もUSドルで2万ドル台からの購入が可能でした。2014年。ただしこの1年で、2万ドル台のコンドミニアムは3万ドル台に価格が上がり、10万ドル台のもは13万ドルに上がるなど、1年で急激な上昇を見せた1年でした。
イメージとして日本や香港まで伸びしろが70残っている感じですが、人口1800万人の国の規模から考えて成熟スピード、価格の上昇も早く飽和状態も比較的早い可能性があります。この伸びしろの幅はこの1年のカンボジアの不動産価格の上昇が証明しています。もちろんこの数値の低さはハイリターンが可能な数値ではありますが、その分リスクも含みますのでそこは要注意です。政治レベルではタイやマレーシアと比較するとまだまだ未成熟で不安定な部分も否めません。小さな法改正は頻繁に発生しています。
カンボジアの現在の平均的な不動産利回りは12%から15%(2013年度の物件取得価格から)は出ています。もちろん税制も日本より格段と低く、上がりはじめの今の仕込みで数年で利回りが20%以上も考えてよいかと考えられます。
もちろん政治的な安定度には欠けますが、カンボジアは流通通貨が米ドル建てなので、カンボジアでの不動産収入はドルという通貨の安定感もあります。まだ全体の法認知度の低さや前例の少なさから潜むリスクは予測しがたいところもカンボジア特有のリスクだったりもします。
ですがこれらの指数が上昇するに連れてリスクが軽減されて、利回りが落ちるのは全体としての当たり前の要素だったりもしますので、どのポジションに張るのかは皆さんの嗅覚次第でしょう。カンボジア不動産はリスクも高いが、リターンも高いのが特徴でしょう。
またカンボジア不動産も小規模コンドミニアムには固定資産税はありませんし、市民税、相続税、贈与税もありません。ただし賃貸での源泉徴収義務があります。
どの国も今の価格で買えるのは今しかありません。
安定を考えるのならタイ不動産、少しリスクを取って良いのならカンボジア不動産、居住、移住ならマレーシア不動産でしょうね。カンボジア不動産と同列としてフィリピン不動産が挙げられますが、フィリピンはASEANで海上輸送が必要な国であり、中国、インドという巨大マーケットと最も遠い位置に存在します。これらから産業蓄積のスピードなど陸路で大陸に繋がるカンボジアには劣ると考えています。一昨年はフィリピンは海外からの直接投資額はASEAN2位でしたが、現在は最下位です。代わりにGDP比率で1位になったのはカンボジアだったりします。
またフィリピン不動産は治安の面から購入エリアも限定されてきますので、僕的にはあまりおすすめではありません。安価な2万ドル、3万ドルのローカル向けを大量買いならありかと思いますが。。