パナマ文書とタックスヘイブン

パナマ文書についての記述をしていなかったので。
パナマ文書は今年の前半にネット上で盛り上がっていましたが、どのような内容かと言うと、いわゆるタックス・ヘイブン(税金が極端に安い国や地域)でそれぞれの国から税金逃れをしている企業や個人のデータが、1970年からの約1150万件、企業数21万4000件(2.7テラバイト)の情報量がパナマの法律事務所から流出した騒ぎです。
決してパナマで登録されている情報ではなくオフショアと呼ばれる税率が20%未満の国で税金回避している企業をや個人の情報をさします。

これは企業だけではなく、中国の習近平国家主席の一族、そして英国のキャメロン首相、ロシアのプーチン大統領周辺、アサド大統領などその顔ぶれもそうそうたる面々なのです。 また今回のパナマ文書でタックスヘイブンを利用して資産隠し疑惑が浮上したアイスランドのグンロイグソン首相は今月5日、辞任を表明しています。

もちろん今回流出した情報の中には日本人や日本企業も当然含まれます。一部報道によると南ドイツ新聞と国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手したタックスヘイブン(租税回避地)の報道情報では、日本国内を住所とする約400の人や企業の情報が含まれているとのことで、今のところは日本では現役政治家は含まれていないようです。

https://panamapapers.icij.org/

租税回避とは外国の税法を上手く活用したいわゆる脱法的な税逃れでもあり、日本のような高課税の国では、収益を計上する企業の本体を税率の低い海外で登記してそこで決済する方法を指します。 租税法に対して税負担を免れる方法で、脱税までにはならないケースも多いのですが、このよに税負担を軽減する租税回避を目的とされています。当然、場合によっては脱税と見なされる場合もあります。 しかし、日本でも新聞の社説等で扱われてこそいますが、欧米と比較くすると、報道の扱いはそれほど大きくありませんのでまだご存知でない人も多いのではないでしょうか。

このパナマ文書には一部の報道では電通やJALなど大手企業も載っているとの情報もあり、場合によってはかなりスキャンダラスな内容に発展する可能性もあるのですが、日本ではオフショアやタックスヘイブンの仕組みが一般的ではないのが大きな話題にならない理由かもしれません。

このパナマ文書という題目からタックスヘイブン国でもあるパナマが舞台になっているのは言うまでもありません。(租税回避で今回問題になっているのはパナマ国内に置かれる法人だけではありません) この租税回避方法は日本でもかなり昔から大手企業も含め、一部では一般的なことであったりもするのです。

一例として、皆さんもニュースや新聞などで「パナマ船籍のタンカー」「リベリア船籍の貨物船」などという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。 これこそタックスヘイブン(租税回避)で税率の低い国で石油を運ぶタンカーや商船の登録をして、税率の高い母国での納税はしな手法です。(単純に説明した場合)もちろん公海上の取引にもなります。 実際のその商船などの持ち主は日本の企業(商社や商船会社)であることも多く、世界中に存在するタンカーや商船などの約5%前後は間接的に日本企業や個人の持ち物だとも言われています。

このような事例を未然に防ぐために日本でもタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)が制度で定められています。 この制度はいわゆるタックスヘイブン(租税回避地)といわれる国、地域に所在する子会社等を通じて租税回避を図る行為を規制するための法制度として、1978年度税制改正により導入さています。タックスヘイブンと見なされる国は税率が20%未満の国や地域があげられます。

もう一つの例を上げると日本ではアマゾンが分かりやすいかもしれません。皆さんもご存知のアマゾン(Amazon)皆さんもこのアマゾンで書籍を購入したり何らかの形で1度は利用したこともあるのではないでしょうか。このアマゾン(Amazon)も日本でこれだけ大規模にビジネスを展開しているにも関わらず、本社登記はアメリカ合衆国やその他の国なので、日本国内は営業所や出張所であったり、実際の日本法人では売上を計上せずに、アメリカやそれ以外の第三国で計上し納税するので、実際には日本で法人所得税は納税していないスタイルのビジネスモデルだったりします。ちなみにこのような外国法人は日本との租税条約がある国の場合は、それに従って自国で納税する仕組みになっています。

要するにこのスキームをタックスヘイブン国、地域(法人税率が20%未満の国や地域)に適応して長年、減税、節税、租税回避してきた個人や法人のリストが大量に出回ったのが、今回のパナマ文書ということなのです。 ※実際に税逃れ、所得隠し、隠し財産の所有権をタックスヘイブンの法人などに置くケースがあります。

さてパナマ文書は南ドイツ新聞と国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した情報の他に、2013年に発覚したものもあり、既に日本国内でも多くの有名企業が明記されています。 またこれは日本だけではありません。

冒頭に書いたように中国の習近平国家主席やその一族、そして英国のキャメロン首相、ロシアのプーチン大統領周辺では少なくとも20億ドル、約2千億円が、タックスヘイブンに存在する会社や金融機関を行き来したなどその顔ぶれもそうそうたる面々なのです。

先日、日本でも報道がありましたが、中国で6日、習近平国家主席らの親族がタックスヘイブン(租税回避地)の法人を利用していたことを伝えたNHKのニュース番組が数回にわたって中断し画面が真っ黒になったのも中国政府のこの一連の騒動に過敏になっている証拠でしょう。

昨年にはFacebookやGoogle、スターバックスなどがオフショア国を使った租税回避が欧米で大きく報道され、スタバの不買い運動に発展したり、HSBCでは租税回避の脱税指南やマネーロンダリング疑惑も露呈し、世界的にもマネーロンダリングや租税回避を阻止する動きが高まっている状況でもあり、今後の波紋の広がりに注目してみたいと思います。

世界的に見て法人税率の低税率国

順位 税率(%) 国名

1   9    モンテネグロ

2   10     ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、英領ジブラルタル、マケドニア、パラグアイ、カタール

3         12            マカオ、オマーン

4         12.5         キプロス、アイルランド、リヒテンシュタイン

5          14            ヨルダン

6          15            アルバニア、グルジア、イラク、クウェート、ラトビア、レバノン、リトアニア、モーリシャス、セルビア

7          16            ルーマニア

8         16.5         香港

9          17            シンガポール、スロベニア、台湾

10        17.92      スイス

このような国に方法的に本社を置いて、税率の高い国で実際のビジネスを行うのが、租税回避となります。(故意的におこなった場合)

※1)日本の場合は、日本に居住したままや、生活実態を日本に置いたまま何らかの回避手段で税制の低い国で利益を計上する場合は、日本でも納税義務がありこれを怠ると追徴課税、場合によると重加算税の対象となりますが、日本から海外へ移住(日本から住民票の転出届)し満2年以上を経過している場合で、1年のうち181日以上日本国外で居住している場合は違法ではありません。

※2)国外財産調書や国外債務調書、出国税やマイナンバー制度などは、このような租税回避を防ぐための新たな制度であったりもします。 これらのように租税回避にならないように実際に海外に居住地を移す日本人が増加してるのは言うまでもありません。

紺野昌彦

紺野昌彦

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2件のフィードバック

  1. 2016-09-22

    […] ここ数年間インドネシア議会で議論されていた経緯がありますが、後押ししたのはパナマ文書事件。 パナマ文書の流出事件には、インドネシアの政治家、官僚、実業家の名前の多くが掲 […]

  2. 2016-10-27

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