米中の貿易紛争と日本
こんにちは紺野昌彦です。
僕は仕事の関係で香港と深センは毎月に近いくらいに足を運んでいます。中国に至っては2010年頃からビジネスで関係も持ち、以来頻繁に訪れています。とは言っても僕は北京語も広東語も数フレーズしか覚えていませんが。。
香港と深センは、ほぼ毎月に近いくらい足を運んでいますが、かつては上海が一番多く訪れていた都市でした。これまでに足を運んだことのある中国の都市は、北から順に北京、上海、南京、杭州、義烏、厦門、広州、張家界、鳳凰古城、深センですが、広大な中国の国土から見るとまだまだ一握りにもならないでしょうね。
さてさて表題の米中の貿易紛争、経済紛争ですが、いつまで続くのかと楽しく客観的に観察しているのですが、以前よりファーウェイの問題が巷を揺るがしています。
ファーウェイの問題は今回の貿易抗争の表面に出ているひとつの事案です。
ファーウェイ潰しは、米国の中国のネット上の覇権潰しであったり、情報管理上で危険視すべきである。を論調として米国が、全世界に使用の禁止を呼びかけている問題です。現実点では米国のファーウェイの締め出しに応じている国は少なく、日本やオーストラリアを含めた数カ国のみ。その各国の反応に米国も苛立ちを見せているとか。
この締め出しは中国の企業介したスパイ行為や中国への情報漏えいを問題視してのことでもあるのですが、それって米国も全く同じ事をやっていて、グーグル、facebookなどで十数年前から世界的にやってきたことでしょう。
と、うーんと首を傾げてしまいます。
グーグルで検索、グーグルマップで移動経路の記録検出、顔認証システムなど、米国の監視ツールとしての事実はある意味では周知のところ。
当然、米国の立場からすると、そんな便利な世界的スパイツールを今後の仮想敵国化しつつある中国に追従を許すのも、見ぬ振りは出来ないのでしょう。
ですが、米国の本音はここでしょうね。
さてさて真相はともかく、僕が中国に出張する画像をfacebookに掲載する度に、多くの人々皆さんより「中国ってグーグルやfacebook、lineなど使えないのでしょ?」って質問コメントが来ます。
確かに中国では使えなません。
もちろん香港や台湾で購入した大陸用のSIMカードならVPN接続をしなくても、グーグルもfacebookもlineも自由に使えます。もちろんメインランド中国の通信キャリアが販売するSIMカードでです。
ですが通常回線や、中国国内のインターネット回線では前述とおり米国の検索エンジンやSNSは使えないのが実情です。
これって情報管制なのでしょうか?
今となっては中国人は、世界各国に旅行や社用で出かけ、日本には年間で1000万人近くが訪日インバウンドとして訪れています。ましてや中国国内でもVPNなどの越境接続でfacebookやインスタグラムなどを使用する人も少なくありません。
実はこれまでの中国では、これらは自国産業の保護、自国マーケット保護の観点も大きくあったのです。
例えば韓国でもサムソン電子やヒュンダイ自動車などの国策企業がそうです。自国の産業が他国との競争力を高める為に、国策として法人税率を特例措置で減税していたのもそうです。
また人口が3億人弱いるインドネシアでも同じ事例はあり、急成長中の国でもあって一般家庭電話や、テレビ、一般家庭のwifiの普及よりも、はるかに早くスマホがほぼ全ての国民に普及した経緯があります。
これはインドネシア国民の大半が、YouTubeで動画見て、グーグルで検索して、ネットお買い物や、スマホで決済する事が出来るようなったことを示しますが、この市場のほとんどを、アップル、グーグル、YouTube、facebookを始めとする米国企業が独占したということになるのです。イコールこれは広告市場でもあり、メディアそのものでのあり、膨大なビックデータにもなるのです。
インドネシア政府は自国のIT企業を保護し、成長を促すために国内マーケットを残す必要性から、同国でYouTubeの閲覧を出来なくする政策立案に乗り出していますが、これって皆さんどう思いますか?
「そんな事せずに市場は絶対に米国に明け渡すべき」
「自国の産業保護は卑怯だ!」
なのでしょうか?
日本では通信事業、インターネット市場は基本的には米国に市場開放した国ですので、違和感なくグーグルやfacebook、インスタグラムなど使用していますが、ここで派生するマーケットの大半は米国産業の収益となり、日本には法人所得税などは一円も落ちていないのです。当然にアマゾンでのお買い物もYouTubeの広告収入も日本で納税すらされていません。
せいぜい事業税と国内法人務めるスタッフ源泉徴収くらいでしょう。
要するに中国も国内のインターネット産業や、IT産業を保護していたのと、14億人という巨大マーケットを有する国なので、市場を開放していなかったのが事の真相なのです。まあ米国に取られたく無かったのでしょう。
それもそのはずで、中国は今でこそ存在感の強い国ではありますが、所得水準ではまだ先進国ではありません。実際ところまだ途上国から一歩出た中進国です。
また中国が急成長したのは、ここ10年と言っても過言ではありません。15年前は間違いなく途上国に分類されていた国ですからね。
こういう視点から見たら国内産業、国内市場の保護政策は、実は頷ける理由でもあったりするのです。
今となってはファーウェイしかり、テンセントしかりと通信事業者、IT企業ともに、中国も大幅に国際競争力も付けて、成長しているのですが、中国からしても改革開放政策で市場経済を国内に導入したのが、ほんの1980年からなので、急ピッチで西側諸国水準に上げたかったのでしょう。
ですが14億人の人口とマーケット、そして広大な国土から、経済力が国際的に世界標準になるつれて、世界では中国は驚異視される結果となったのです。
脱線しましたが、仮に中国のネット市場も米国に独占された事を想定すれば、これはこれで、また大きな驚異でもと僕は思ってしまいます。
このような観点からでは、ある意味では中国の政策も、インドネシアの政策も有りなのかもしれません。
日本に関して言えば、すでにネット市場も米国企業に支配されていますし、株式市場でも投資家の7割は米国を始めとした欧米勢ですし、はたまた防衛、防空システムも完全米国傘下ですから、日本人はグーグルが使えないという事だけ見ても、もはや客観視できくなっているのかもしれません。
さて中国がネットの市場を開放しない事に、中国は自由な国ではないと思いを、日本人は後を絶ちませんが、日本も中国と変わらぬまた、中国より長期間に渡り大きく保護政策の国でもあります。
お米や豚肉など多くの農作物は自由化がなされていませんし、輸入出来ても高い関税率が設けられていたり、日本インターネットでは自由でも農業、農作物では完全に自由化していません。
また金融もそうです。
海外の銀行が日本軒を並べているの見ませんよね?
シティバンクもHSBCも日本の保護政策に耐えかねて数年前に撤退しています。日本政府は外国銀行になかなかライセンス交付は島線。もちろんここまで米国や海外諸国に市場を開放する必要も無いのかなと、僕は思っていますが、なにも国内産業の保護をしているのは、アジアの隣国だけではないのです。
さて米国は中国に対して、大幅な貿易赤字を背負い込んでいます。方や完全自由主義を称している米国ではありますが、TPPにも加盟しません。それでも貿易赤字なのはハードでもソフトでも、米国内企業や米国民が、中国を含む対外製品を選択した結果でもあるわけです。
自動車は日本やドイツ勢が強いわけですが、米国政府はバンバン民間企業にも圧力をかけて米国内に工場を作らせたり、途上国のように急遽高い関税を付けたりチラつかせたりと、国にも圧力をかけて関税を撤廃させたり、市場を開放させたりと、やっているのですが、この対中国版こそが米中の紛争なのです。中国を悪というレッテル見るから違和感を感じないかしれませんが、バイアスを省くとこんな感じなのです。
米国はどうしても中国のインターネット市場、IT市場が欲しいのでしょうね。それでこそ世界市場でアメリカが君臨し続ける唯一の方法なのかもしれません。
かなり中国よりの投稿に見えるかもしれませんが、決してそうではありませんので、誤解なさらないでくださいね。別に中国が好きというわけではありません。単にアメリカの独占主義が昔から嫌いなだけなのですw
とは言いながら僕も検索エンジンもグーグルですし、facebookもヘビーユーザーなのですがw
納得が行けばシェアしくださいね♪
紺野昌彦