地方創生の目的と意味

こんにちは紺野昌彦です。

今回は地方創生に付いて触れてみたいと思います。以前に地方創生に関連した仕事に従事した関係もあり、また友人が地方創生に携わっている事もあり、改めてこの地方創生に付いて考え検証してみたいと思います。

僕が地方創生に関連した仕事に関わったのは、ひとつは厚生労働省の所轄であった、中心市街地活性化政策でした。

いわゆるシャッター通り化した商店街などを活性化させて起業件数を増加させたり雇用を促進事業でした。

雇用創造推進協議会などを地方自治体に組成して政府からの助成金を得て地域を活性化させる内容です。

まずここで感じた事ですが、地域の置ける状況の分析と将来性の検証がかなりのウエイトを占めていると言う事にも目を背けては行けないことです。

要するに現状出来るだけ詳細に解析し理解する必要があるという事です。

過疎であったり、かつての商業地域が衰退していくことは、しっかりとした理由も存在するというこです。

例えばかつての中心市街地は、その経済圏の中心的な市街地であり、そこには多くの商店や人と資本の集まる仕組みが集積されて、これまで発展した経緯があります。

一定の発展に達すると、以降は開発は飽和状態となり、地価、賃料の高騰も招き、何れは中心部から広域に分散する傾向が見られます。いわゆるドーナツ化現象です。

地方都市はやや緩やかでしょうが、大都市部は極めて顕著にそうでしょう。

中心から郊外の住宅地開発に移行し、多くのベットタウンが出現し、郊外型のショッピングモールが現れます。アウトレットモールなど大型の新興店舗は中心市街地ではなく郊外に移行してきてた経緯は、一定の年齢以上の方はリアルに見て感じて経験してきた事でしょう。

それは居住人口の広域化と郊外に若年者人口がシフトする傾向が都市部では概ね発生している事が既に事実として立証されています。

振興住宅地は弱年者人口を抱えて新たな消費を発生させますが、逆に中心市街地は子の世代が、郊外のベットタウンに出たこともあり高齢化に繋がり出します。

大都市部の小学校が児童不足で統廃合や廃校等になっている報道もご覧になった事もあるのではないでしょうか。

またこれと平行して、産業の統廃合の加速で、かつての小規模店舗のひしめく商店街から、大型モールなどと集権型のマーケット構造にも変換がありました。

これが都市のドーナツ化現象であって、近年までその影響が大きく影を落としていました。

ですがここ数年は、中心市街地が再開発も多く見られます。これは時期的に建造物がスクラップ&ビルドの時期を迎え、中心部でもかつての古いオフィスビルが高層のマンションやオフィスビルに変わり、こんどは郊外からの中心部への人口の逆流が見られます。

これと平行してかつての郊外型のベットタウンは、当時のベットタウンで成長していた子供逹も成人し、逆に郊外型の住宅地が高齢化なるサイクルがあります。

このように、旧市街、新市街がそれぞれ入れ替わるのが、本来の流れでもあり、今まさに発生している流れでしょう。

これは日本に置いては30年、50年のスクラップ&ビルドの周期で都市も再生し入れ替わると言う流れが戦後発生しました。中心部の再開発、再生はまさに今発生している過程でもあります。

そんな自然の摂理的なサイクルに、歯止め?時間稼ぎ?的な政策が、旧市街地の再生計画であったりするのも残念ながら実情でしょう。

老朽化した商店街に、色んなコミュニティを作ったり、再度若者が集まる仕組み作りを考えて予算を投じてきた地方自治体は多くありますが、成功事例はほんの一握り以下でしょう。

果たしてこれはアリなのかも疑問に感じてしまいます。

もちろん10%20%の一定の増加や利用率は出るでしょう。ただその数字が、地方自治体プライマリーバランスにどれくらい貢献しているか。実際ところほとんど影響も無さそうにも思います。

こんな事を言ってしまえば元も子も無くなりますが、何の効果も期待出来ないように感じます。

昨年よりも10件起業件数が増えた。これにより50名の雇用が発生した。

こんな事くらいはあるでしょうが、これが3年、5年、10年と継続してからこそ始めて何らかの効果が出てくるものでもあります。

そんな事より200人、300人規模の製造業や企業を誘致する方が、その地域(地方自治体)への税金や保険料などへのプラス影響や、それらの社員数から派生する経済効果も高かったもします。

 

さてこのようなミクロ的な事だけでなく、マクロで見ても事は同じです。

経済の仕組みそのものを検証すると、見えても来ます。企業は発展の過程において大きく統廃合をします。それにより競争力を高め、国内のみならず世界マーケットと競い合う背景があります。

また産業の縦割りから並列化の加速より、かつて国内製造の物が、安価な海外からの製品輸入になっていたり、かつての商社や問屋などの中間業者を廃して直接取引も増えマーケット構造も変化しています。

これらの構造の変化は既存産業の形骸化となり、やがて中間産業は衰退し、よってコストが減少することにより製品価格の低価格化にも繋がります。

これは現在まで続いているデフレのもうひとつの背景でもあるでしょう。

要するに失われた20年と呼ばれた日本の経済低迷期だけが、現在まで尾を引くデフレの原因ではないということです。

さて少し脱線しつつありますが、同時に日本は人口ボーナス期過ぎました。

これは人口ピラミッドで日本の人口がピークを過ぎたと言う事で、今後は人口減少が加速する状況が続きます。

2030年には日本の70%以上地方自治体で人口が現在の数を割るという統計も出ています。

また労働適齢期の18歳から30歳人口も同時に減少します。2030年には1800万人程度で、全人口の15%ほどにまで減少します。

ここでAと言う都市からBという都市に若年者労働人口を増やしても、Aという都市の人口が減少して、地方税納税する地方自治体が異なるだけでしょう。また国税はどの都市に移動しても入る額も国にとっては変わりません。当然企業件数が増加したら事業税と市民税は増加するでしょう。ですが1社当たり7万円ちょっと。100件起業させても70万円ちょっと。もちろん多少の派生経済は発生するでしょうけど、起業した事業の事業規模、雇用数がどれだけものかが大きく物を言うところでもあります。

どうしても一定の成果を出すのには、中規模以上の企業の誘致が一番でしょう。

またはその地域からビルゲイツのような一代で巨大なコングロマリットを産み出す天才を排出するか。

ここでかなり大胆な持論ではありますが、思いきってもっと人口減少させるとのと過疎を受け入れるのも手ではないかとも思います。助成金という無駄なコストをかけずに。

もちろん現時点では全く空論としての意見ではありますが、無人化する村には地方自治体としてコストもかからなくもなります。支所などの人件費、消防や救急などの軽減、そして大きな自然をまた受け入れる事にもなり、逆転の発想なのかなとも思ったりもします。

例えば東北のとある県として、市の数が別に半分になっても別段何が問題なのかなとも思ってしまいます。東北地方だけでもありません。上越でも中国地方でもそうです。現在の1億2000万人の人口はあと30年もすれば1億人まで減少するには明白であり、出生率が行きなり大きく改善するという事がない限り、減少には歯止めはかかりません。

2000万人の減少と例えると首都圏ひとつが消失するイメージであり、兵庫県で4つ分、九州ですら1500万人なので九州と山口、島根、鳥取の人が居なくなる程の減少なのです。

こう考えると助成金を出して過疎化を是正し地方を創生するのってどんなよ?とも思ってしまうのです。

それならいっそう過疎を受け入れ、大きく自然を回復し、巨大な国立公園を形成し、何キロにもわたる原生林の中をドライブできる環境を整備し、人口ではなく観光客を獲得して、少ない人口豊かにするのも方法ではないのかなと思います。

ここで少し外を見てみましょう。

日本は前述の通り、人口ピーク期を過ぎ去り、毎年人口減少が続き、企業はグローバルマーケット見据えて、国外に製造拠点を移し、販路を世界に求めて、国内は産業空洞化も進んでいます。

ですがアジア圏は、人口ピークを迎えるまでまだ30年以上先の国たくさん存在します。

まさにASEAN諸国は大半がしうでしょう。

あと10年で億超える人口が増加し、所得も10年で倍になり、インドネシアに関してはGDP比で日本を抜く指標も出ています。

要するに日本のインバウンドの増加はまだまだ伸びしろがあるわけで、国内の産業立地だけが地方創生ではないのかなと思います。

もうひとつ例のを上げると、2018年の冬季五輪では中国は国策として今後10年間に、5000万人のスキーヤー(ウインタースポーツ愛好者)を増やす事を発表しています。

そうなるとアジアでパウダースノーで滑れるスキー場は、信州の一部と東北以北だけになります。

と言うことは毎年数千万人のスキーヤーを受け入れる事にもなり、そうすると一定以上の産業集積も可能となり、言語上の問題で外国人労働者の雇用も促進し、国内で若年者労働パイを奪い合う事にもなりません。

このように国内完結ではなく、グローバルな広域マーケットにも視野を置き、外国人労働者の日本国内労働の規制緩和も予測してプランニングするのも選択のひとつと見る必要があるでしょう。

もちろんこれは一例であって、農業休耕地の借り上げの生産や、今後法人所得税の減税もあるので海外企業や、外国人富豊層の長期滞在や、居住誘致など大きく角度を変えた視野が大きな切っ掛けとなるのではないでしょうか。

このような視点からの地方創生も可能であったりもするわけで、現在の助成金ありきの延命措置では、地方創生には何も意味を持たないように感じた今日この頃でした。

紺野昌彦

以前にお手伝いしていた地方創生の活動例

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紺野昌彦

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