香港とは?今更ながら。紺野昌彦
その大学生との会話では、香港は中国のひとつの都市という捉え方だったのが印象にのこった。。
香港の捉え方は、世代によって大きく異なるだろう。
現在40歳以上の世代には、香港は独立国?として、旧イギリス領としてのイメージが強いだろ。
イギリス領時代には、都市の中央部に存在した旧香港空港や、治外法権として世界的に名を馳せた九龍城なども記憶に新しい。
香港がイギリス領であったのも今では過去の歴史となりつつある。今の20代、30代前半の世代には中国という印象が強い。香港は1842年から1997年まではイギリス領の香港であり、イギリスの総督が赴任し、国家元首はエリザベス女王だったが、同1997年に中国に返還後。返還後の香港を中国は直接統治せずに、一国二制度を採用して中国本土とは個別の法制度下とした。
これにより香港は中国でありながらも一定の独立性を保つ地域として金融都市として今に至っている。
現在、香港はロンドン、ニューヨーク、東京とならぶ世界4大金融センターとして位置し、世界経済から見ても重要なポジションで、独自の法形態、税制、通貨となっているのはこのような背景からだ。
ある意味では中国の自由貿易地域という見方もできるし、一党支配の中国と自由国家経済との緩衝地帯的な位置にも感じてしまう。
香港の人口は約700万人で、香港特別行政区の面積は1,104 km2(426 sq mi)。
このHSBC(香港上海銀行)も元イギリスの領土であった名残的な金融機関でもある。HSBCは香港かシンガポールが本店にとらわれがちだが、イギリスに本店を置き、香港がメイン中枢機関になっている。HSBCは本社をイギリスとし世界88カ国に1万店以上の支店を持つが、その店舗数はシティグループの2倍近くに登っている。エリア別収益割合は香港の22%、ついでイギリスが20%と、このように全体収益の22%がHSBCが大きく飛躍した香港の業績だったりする。本題に戻るが、香港は中国に返還されつつも独自の形態を保ち、自由国家としてまだ保ちつつある。
ただ昨年の報道にあったような、メインランド中国の政治的な影響力の強化が圧力となり現れつつあるのも実情だ。
昨年のデモはアンブレラ革命とも呼ばれている自由香港を守る活動であったが、香港政庁のトップを中国の指名による事実上の自由選挙を奪うことにつながる指示に、反対運動が起きたのも発端のひとつだった。
紺野昌彦
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