ニセコ不動産の高騰のメカニズム
こんにちは紺野昌彦です。
前回に続いてニセコ不動産事情についてです。何度かニセコやルスツ、洞爺湖方面の不動産の高騰とそのメカニズムについてはこのブログで書いてきました。
ニセコ不動産事情
北海道の不動産開発、リゾート開発に関わりここ4年間はほぼ毎月、ニセコ、ルスツ(留寿都)方面には足を運んでは、地域の地権者そして地方自治体、開発ディベロッパーなどと情報交換や、折衝などを続けています。また僕の引率するニセコ不動産、ルスツ不動産、洞爺湖不動産の見学ツアーも2016年から8回実施しており、述べ50名以上の皆様をお連れしましたが、この間の土地価格の上昇率を見るだけでも想像を絶する状況なのです。
北海道の倶知安町、ニセコ町、留寿都村エリアの不動産は地価が大幅に上昇し、日本でもトップクラスの上昇率を見せています。倶知安町はニセコの玄関口としての要素が高くまた交通の要衝としての地位があります。北海道へのスキーリゾートの目的者は当然ながらゲレンデ近くを好み、結果として不動産価格もゲレンデの距離との地理的相関関係が重要ではありますが、実際に現地で就労するインストラクターや施設での就労者は、生活しやすい倶知安町やニセコ町の街中に居住地を置くのが大半です。これらも関係して、ニセコ不動産の人気、すなわちニセコのウィンタースポーツ客の大幅な増加は、ニセコの不動産価格だけではなく倶知安の不動産や隣接地区の不動産価格にも大きく影響を及ぼしているのが伺えます。
ニセコの人工増加率
何度かブログでも紹介しているように、ここ数年ではニセコでは更なる建設ラッシュで、新たなコンドミニアムやハイアット、リッツカールトンなどのハイエンドのホテルなども建設が進み、軽く車でドライブをするだけで、その建設ラッシュ度は一目瞭然です。
この建設従事者もゲレンデ近くに居住するわけではなく、倶知安やニセコの街中に居を置くのが一般的です。
そのような関係から倶知安町に関しては人口増加率が著しく、人口増加率が2015年は0.06%増、2016年は1.48%増、2017年には2.55%増と3年連続で人口増を記録して、人口増加率2017年度は全国で1位を記録しています。
これらを牽引しているのがニセコ町でしょう。
ニセコの不動産の価格上昇はこのように周辺エリアからの底上げもあってのことなのです。
倶知安町人口増加率 | 2015年 | 0.06% |
倶知安町人口増加率 | 2016年 | 1.48% |
倶知安町人口増加率 | 2017年 | 2.55% |
周辺エリアの人口増加を見てみると、これもまた増加しています。
ですが、以下の地方自治体は増加が見られる地域で、参考までに人口数の2017年度のものを比較させています。
ニセコ町 | 5034人 |
倶知安町 | 15325人 |
真狩村 | 2189人 |
留寿都村 | 1992人 |
ニセコ不動産が高騰したメカニズム
本来なら寒村の倶知安町、ニセコ町などが、全国でもトップクラスの不動産価格の上昇を見せたのは、他に類のないメカニズムが隠れています。
第一にこのエリアの人口増加率は日本人ではないことが挙げられます。約半数がオーストラリア人と欧米人で構成されていることです。
ニセコに乱立する高級コンドミニアムやホテルの多くはオーストラリアをはじめとする外資系が所有者であり、開発しているのも販売しているのも同国をはじめとしたディベロッパーとなります。
彼らは日本国内でプロモーションを行って販売するのではなく、自国オーストラリアをはじめニュージーランド、カナダ、米国、シンガポール、香港での販売がメインで、彼らの持つ顧客層も同国のアッパーミドル以上の所得層から富裕層、超富裕層であるのが大きな特徴と言えるでしょう。
これらのコンドミニアムをはじめとするニセコ不動産の販売プロモーションは海外でニセコの知名度を大きく上げたののもありますし、また同時に日本国内での集客ではなく、彼れが自国やそれぞれの企業が持つマーケットである海外からの集客に集中しているのが、左右したと言えるでしょう。
*れらメカニズムは過去ブログを参照ください。
ニセコ不動産の驚愕
それと同時に、ウィンタースポーツ人口は日本では人口減少期に比例して、年々減少傾向にあるのですが、海外での特にアジア圏でのウィンタースポーツ人口は増加の一途で、日本国内と海外マーケットの逆転減少も念頭に置かなくてはいけません。
これは中国もそうですが、アジア全体の所得の増加が、富裕層を多く生み出し雪の無い国々でのウィンタースポーツユーザーを増加させている背景がありました。
ニセコスキー場はワールドスキーアワード最優秀
特にニセコスキー場は2016年までワールドスキーアワードまで4年連続で、世界基準の最優秀ゲレンデ賞を受賞し、その名を欧米でも知らしめて各付けを大きくあげているのも大きなプロモーションとなっています。このようなこともニセコ不動産の価格に反映しているのです。
タックスヘイブン法人がニセコで不動産買収
このニセコの不動産価格の上昇は、日本国内でも異例中の異例の現象でもあり、ここ数年では多くのメディアで紹介もされています。
数年前より日経新聞でも各月ペースに記事にもなっているので、一度、「ニセコ不動産日経」で一度ネット検索してみて頂ければよく理解できると思います。
また今月NHKの特集でも取り上げられていた統計で面白い数字がありましたので紹介してみたいと思います。
見出しは「タックスヘイブン法人がニセコで不動産買収」という内容です。
その中でわゆる「タックスヘイブン(租税回避地)」に拠点を置く法人です。しかもその数、わかっただけでも200近くあったそうです。
まあなにもタックスヘイブンで登記した法人からの投資などは特に珍しいわけでもありません。
みずほ銀行ですら銀行で組成するファンドの多くがケイマン諸島などのタックスヘイブンで組成しているので、全く普通と言えば普通です。一度これもネットで「みずほ銀行ケイマン」などで検索してみてください。みずほ銀行の組成しているケイマンファンドが大量に出てきます。
またロンドン証券市場や香港や証券市場で上場している上場企業でタックスヘイブンの法人を使って上場しているのも全く普通によくある事例ではあります。
ややグローバル情報に対するガラパゴス日本のいい例かもしれません。
さて余談はさておき、この中での統計でもう一つ面白いものがありました。
「3つの町で不動産を所有する外国資本の数は、自治体への取材を重ねた結果、少なくとも延べ1818にのぼることがわかりました(NHK調べ 2019年1月時点)」
その内訳で最も多いのは香港の法人や個人で671。次いでオーストラリアが390、シンガポールが236となってるようです。もちろんカナダ、米国などの欧米系をトータルすると過半数が欧米系と最も多くなります。(以前のブログでもディベロッパーの販売数からの資産で出しています)
またキロロに関しては、タイ資本がスキー場まるまる買っていますし、ニセコの一部もマレーシア資本が買っているので、別段中国を意識することもないと思います。
ニセコ不動産は中国人はまだ買っていません。
このようにニセコの不動産が高騰している、イコール中国人の爆買いを想像している方もおおいでしょう。
多くの皆さんが中国人が買い漁っていると言っていますが、そんな事実は存在しません。
前述のNHKの調査でもあるように決して上位にランクインはしていません。もちろん香港を中国と見なすのならそういう試算にはなりますが、ここではメインランド中国と、香港は別物と考えてみたいと思います。
中国と香港を分けている定義ですが、これが「確かにそうだ。」とわかるのは2021年ごろからだと予想します。
2022年には中国の北京で北京冬季五輪が開催されます。中国では冬季オリンピックの北京開催に合わせて国策でウィンタースポーツ人口の増加を進めており、昨年の段階ですでに中国国内で2億7000万人のウィンタースポーツやそれらに関連する人口をたたき出しています。
ご存知の方も多いかもしれませんが、中国では大量の天然降雪はありません。微量でしょう。
中国の大半のスキー場は人工降雪に頼るスキー場であり、ウィンタースポーツに魅了されたユーザーは、天然のパウダースノーを求めるにはアジアで唯一の日本、そして知名度が抜群の北海道に目を向けてくるでしょう。
現在でも中国人には北海道は大人気ですからね。
ニセコ不動産価格の例
過去ブログでも現地調査した不動産価格の表を引用紹介しましたが、改めて紹介してみたいと思います。
原則としてゲレンデとの距離に応じて土地価格は異なってきます。
当然ながらゲレンデ隣接地が最も高く、そしてゲレンデから車で20分以上の距離でもその土地価格は衰えを見せません。
通常のスキーリゾートでは全く全国でも類を見ない状況なのです。
それが数年間続き、これからさらに増加を見せる気配すらあるのです。
ゲレンデ隣接地 | 坪単価 | 600万円から1100万円 |
ゲレンデから1km圏内 | 坪単価 | 200万円から300万円 |
ゲレンデから車で5分圏内 | 坪単価 | 100万円から200万円 |
ゲレンデから車で10分圏内 | 坪単価 | 50万円から100万円 |
ゲレンデから車で25分圏内 | 坪単価 | 25万円前後から |
ニセコ不動産今後の見込みとして
ニセコ不動産の価格の高騰は、やや天井を打った感がありますが、地域の利用ユーザーが減少することは考えにくいと思います。
今ではポストニセコをも言われており、近隣のルスツリゾート、ルスツスキー場付近の不動産価格の高騰も目を話せません。
短期間での実勢価格の上昇率では、ニセコの不動産価格の上昇率を抜いているイメージです。
またトマムやキロロ、富良野付近にも波及してきています。
個人的にはルスツリゾートのある留寿都の不動産が面白いと感じています。
興味を持った皆さんは、一度、ニセコ、ルスツの不動産の状況を見学にしに足を運ぶことをオススメします。
まずは驚くこと間違いありません。
紺野昌彦
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