マレーシアの危機?原理主義化の加速
マレーシアの危機?マレーシアはイスラム原理主義に傾向しつつ。
イスラム先進国、イスラム穏健国として経済発展と遂げてきたマレーシア。日本でも移住の人気度も高くAEC誕生に向けた進みだしたマレーシアは今後の発展に大きく期待していたのですが、不穏な空気感がでつつあります。
マレーシアは、イスラム教、仏教、キリスト教の三大宗教が平和的に共存する世界でも稀有な国。国教はイスラム教ですが、人口約3000万人の約66%を占めるイスラム教徒以外は、約20%が仏教徒、約10%がキリスト教徒で、憲法でも信教の自由がこれまで認められてきました。そこがマレーシア最大の魅了と強みでもあったように感じていましたが、言論を弾圧、イスラム刑法導入の懸念がでつつあります。
以下メディア記事より
マレーシアが矢継ぎ早の法改正
2015年3月、人口の約95%がイスラム教徒のクランタン州州議会で、イスラム法(シャリーア)をさらに厳格化するイスラム刑法(フドゥ)の改正法案が全会一致で可決された。ただし運用には改憲が必要なため、「必要な手続きを経て年内施行を目指す」(同州のアハマド・ヤコブ州首相)と、同州与党の全マレーシア・イスラーム党(PAS)は同改正を求める議員立法案を国会に提出、物議を醸している。
もし、国会で可決されれば、背教行為やアルコール摂取などといった罪で、手足切断や鞭打ち、さらには罪人の下半身を土に埋め、死亡に至るまで多数の人間の手で石を投げて打ち殺す「石打ち刑」などの“極刑”が科されることになる。
イスラム教徒への適用は建前で、「実際には全住民が対象とされ、多数教の建国理念が崩壊する」(宗教専門家)と懸念が高まっている。
煽動法改正案が与党の強硬決議で可決
同州では2012年、中国系のイスラム教徒の男女が「人目につかない場所にいることを禁じる」イスラム法に反し、罰金を科され問題となった。地元中国語紙「中国報」は、イスラム法の下、非イスラム教徒が罰せられる事件は多く発生していて、この事件は「氷山の一角にすぎない」と批判している。また、このイスラム刑法に加え、マレーシアではさらに4月10日未明、12時間以上に及ぶ国会での与野党攻防戦を経て、煽動法改正案が与党の強硬決議で可決された。
実際、マレーシアではここ数年、保守派層の支持を得るため、ナジブ首相率いる与党・統一マレー国民組織(UMNO)右派勢力の強い支援のもと、イスラム政党が宗教保守化しつつある。「同州議会の決定は、宗教や民族に関係なく、全ての人に影響を及ぼす」(宗教専門家)とされ、「他の州や与党連合が追随すれば、隣国や国際社会からも孤立する危険性もある」。一方、欧米諸国も今回の改正がイスラム刑法の厳格運用を徹底するイスラム国(IS)の思想を育む引き金になり、ISの脅威拡大につながると警戒している。
オンラインメディア遮断の権限も
「最高3年間の禁固刑、あるいは最高5000リンギ(約16万5000円)の罰金」だった改正前から、「3年から7年の禁固刑」と罰金制度を廃止した上、懲役年数が延長され、器物破損や傷害を犯した際には、「5~20年の禁固刑」が科されることや、政府にオンラインメディアを遮断する許可も与えられることが新たに加えられた。
2016年の総選挙を睨み、すでにオンラインニュースメディアだけでなくヤフーなども許認可制に移行したシンガポールと異なり、マレーシアでは政府系の大手メディアこそ言論統制してきたものの、インターネットメディアには政府の批判を含め自由な報道が許されてきた。
その結果、マレーシアは数百万人以上に及ぶ読者を抱える世界でも類を見ないインターネットメディア大国となった。今回、政府にオンラインメディアの遮断許可を認めたことで、「いよいよ魔女狩りが始まった」(メディア幹部)と関係者は憤りを覚えると同時に戦々恐々だ。
ブルネイのイスラム法導入
僕もちょうど今月ブルネイにも足を運んできたのですが、揺れるマレーシアより以前にイスラム法については、2014年5月にブルネイのハサナル・ボルキア国王兼首相が導入を宣言し、先行施行(国王は適応外)している。同国王がニューヨークなど欧米諸国に高級ホテルなどの不動産を所有していることから、著名なハリウッドスターやバージングループの創業者、リチャード・ブランソン氏らが批判、トルコ皇帝(ボルキア国王のこと)が基本的人権を厳守するまで関連ホテルの利用・宿泊ボイコットを宣言した。
ブルネイは飲食店にお酒もなく、クラブやバーもなくお酒を飲まない僕には静かでよったのではあるのですが。マレーシアも年に数回明日を運びます。マレー系、中華系、諸外国人などがゆとりある生活をしているように見えるマレーシア。
クアラルンプールも住みよい環境ですし、実際に住んでみてもいいイメージを持っていました。別段僕自身は宗教に対して、無関心であるのと、従来お酒も飲まないので、イスラム色が強くなるのはそこまでとは思いますが、ASEANの統合、今後のAEC誕生に向けての足かせにならないかがやや心配ななところです。
実際ASEANの各国の中で、マレーシア、インドネシア、ブルネイがイスラム教国でありますが、昨年イスラム法を導入したブルネイは人口が40万人だから別としても、マレーシア、インドネシアで約3億、AEC誕生後のASEAN総人口の約半分を占めることになります。また経済面でみても急成長した産業なども多く、このまま原理主義に流れていくと、マレーシアはAEC誕生後はこれらが他国にシフトしたり何らかの影響がでるかもしれませんね。なんといっても人口の約35%華僑、中華系マレーシア人ですからね。
今後のマレーシアの動向に注目していきたいです。