紺野昌彦 タックスヘイブン(租税回避)へ向かった日本の総額
タックスヘイブン(租税回避)へ向かった日本の総額
タックスヘイブンいわゆる租税回避は、悪く言えばマネーロンダリングや所得隠しの方法のひとつにつかわれていたりします。
もちろん外国の税法をうまく使った、一見して合法でも実は日本の税法で、租税回避を防ぐために、税率の低い国にある法人の所得を日本の所得とみなして法人 税または所得税を課税するタックスヘイブン(Tax Haven)対策税制にひかっかかり、どう考えてもまっとうでも、NGになってしまう場合もあります。
例えば、海外に居住して2年以内の日本人と、2年未満の日本人でも扱いは大きく異なります。
また海外居住でも毎月ちょくちょく日本に帰って来たりで、年間181日未満の海外滞在の日本人も住民票が日本になくてもまた扱いが異なります。
このタックス・ヘイブン対策税制は、軽課税の国や地域等いわゆるタックス・ヘイブンを利用 した国際的租税回避の防止を目的として作られた法律で、いわば先進国の税徴収のための法律です。
1962年に米国において最初に導入されたのを皮切りに、72年西独(当時)、78年日本、80年仏、そして84年英において導入されています。
日本では課税率が20%未満の国や地域をタックスヘイブン、オフショアを見なします。
海外でそして理論上、合法でもこの法律の存在で、マネロンや租税回避、所得隠しなどという定義になってしまうわけです。
もちろん先ほど書いたように非居住者や、完全な外国進出の現地法人で資本率などの条件をクリアしている会社などは、同じ手法でも問題ありません。
タックスヘイブンにはどのような国や地域があるのか?
世界経済がグローバル化の加速が顕著な現在は企業の情報リテラシーの上昇もあり、より税率の低い国に会社を登記することでコストを抑える方法が取られるようになりました。
このような背景から国家としても法人課税率を下げて、国外から企業や産業を自国に誘致する動きも目立って来ています。
そのひとつの例にアイルランドがありますが、1990年には法人課税率は43%もあったのですが、2008年には12.5%まで法人税率を下げて、国外より企業を誘致しています。このような税制を用いて産業誘致するをタックスヘイブン政策と言われています。
現在日本でも法人課税の税率引き下げが取りざたされていますが、高い税率が理由で産業が日本国外に流出するのを防ぐのも大きな理由だったりもします。
タックスヘイブンとして有名なところは、一昔前はスイスそしてモナコ公国、パナマ、バージン諸島、ケイマン諸島、ドバイ、バーレーン、マン島、モルディブなどなどでしょうか。また王道的なポジションで香港、シンガポールなども挙げられます。
日本の大手もタックスヘイブンをフル活用?
日本では2000年頃からこれらオフショアへの資本流出が増加している傾向があるようです。
日本銀行の調査では、ケイマン諸島への日本の投資残高は2012年の末で55兆円となり、ケイマン諸島全体の投資残高にしめる割合の約14%に達しているとの報告もあります(報道済み資料より)
2001年から2012年の統計では日本資本の占める割合は実に3倍に増加し、アメリカの127兆円に対して2位となっています。ちなみに3位はイギリスの23兆円。
もちろんこれはケイマンのみの数字で他の国や地域を含めればさらに巨額となるでしょうね。
また他の報道記事では、三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)は、ケイマンに三つの子会社(資本金合計額約7千億円)を持っています。
同グループの回答では、子会社はいずれも証券発行を目的とした特定目的会社(SPC)であり、従業員は日本の社員が兼務し、ケイマンでの業務は地元業者に委託しているといいます。
同じく18の子会社(同2兆9500億円)を保有する三井住友FGは、資本調達の際、「設立コストや管理コスト等を勘案して当該国に設立した」と回答。両社は「節税」目的は否定していますが、実は積極的に活用されている例はいくらでもあります。
27の子会社(同588億円)を持つみずほFGは、「一般的な話として、ケイマンに籍を置くのは資金調達コストを下げるため。必然的に節税ということはでてくる」(報道資料転記)
また銀行免許や証券免許、ファンド編成などの取得申請もゆるいのでこれらオフショアを利用した、金融調達も実は一般的だったりもするのです。
ただ節税ですと一言でも言ってしまえば租税回避になるのも事実ですが。使い方によっては大きくメリットもあるのも事実です。
2件のフィードバック
[…] 所得等の特例の制度がスタートした。 香港やシンガポールなど税制の温和ないわゆるタックスヘイブンと呼ばれる国や地域に移住する日本人をターゲットにした税法となる。これらの国 […]
[…] の弱さからもあり、インドネシアの富裕層は隣国のシンガポールなどをはじめ多くのタックスヘイブン地域に資産を分散して保有している状況もあったようです。 今回のアムネスティー […]