中国の拡張政策へのアメリカの対抗処置、オフショア・コントロール(OC)
中国の拡張政策へのアメリカの対抗書、オフショア・コントロール(OC)
オフショア・コントロールはまだあまり聞きなれない言葉かもしれない。
昨日までのブログで、アジアインフラ投資銀行について記述してきたが、このような中国経済の派生からなるチャイナグローバルリズムの拡張に対する、アメリカ合衆国の対抗処置として進められている基本戦略が、オフショア・コントロールだ。
オフショア・コントロールは戦略構想ではあるが、キーワード的には、「安全保障」「脅威」「ロジスティクス」「国防予算」、そして「コントロール」などの意味合いだが、軍事戦略よりは非軍事的でやや抽象的、というイメージが強い。アメリカの平時における影響力を維持し、戦時の国益を守るための戦略でもあり、拡大する環太平洋の中国の影響力を押し込める意味合いが強く、具体的戦略による展開ではない。
アメリカは財政難であることに変わりはない。国防費の予算削減の波は、アジア太平洋地域における米軍の影響とプレゼンスにかかるコストを大幅に減少させることを要求しているのもあり、現在アメリカは既存戦力をアジアにおいて戦略的リバランシングを実行中だ。そんな中で大きく具体的な調達計画や戦力構造を決定しないままに進められている。
一時期アメリカはマリアナ諸島(グアム)周辺まで海防ラインを下げたが、現在再びフィリピンまで一線を戻す計画を進めている。
沖縄の米軍、日本の米軍基地もそれに位置する戦略で、軍事的なプレゼンスを優位に保ち、中国を第一列島線以内に封じ込めるのが狙いであり、オフショア・コントロール戦略における戦争目的が、中国共産党の排除でも降伏でもなく、中国の攻撃を止めさせるところにある。オフショア・コントロールは同盟国を守りつつ、中国のエネルギー・貿易ルートを締め付ける能力をパートナーに示すものである。
経済的に大きなゆとりをなくした、アメリカ、日本は経済という背景では既に戦いにくく、中国の経済への依存すら見え隠れしているのも事実であるが、将来アメリカが中国と戦火を交えることになれば、世界の経済に大きな打撃を与えることは免れない。だが、このオフショア・コントロールで封じ込め、反中国への支援、軍事拠点化することでこれ以上の拡大を阻止することは、一時的な経済の影響はあっても大きな破壊には繋がらない。
このように今後、アジアインフラ投資銀行の対抗軸のアジア開発銀行、世界銀行などのアメリカ主導の国際金融機関の軋轢と、シーレーンの覇権を争う、オフショア・コントロール戦略がどのような流れになるのかを注目していきたい。
ただ、経済の流れはある意味では自然の摂理でもあり、拡大する中国国民の平均所得が中国最大の武器でもある。
同時に軍事力による拡大政策も続ける中国だが、経済支援そして中国の消費力、移動人口数による経済攻勢に呑まれたのが、アジアインフラ投資銀行の諸段階だ。
アメリカと中国の代理戦争と化す場は実は日本なのかもしれない。