振興国が経済発展が早い理由

こんにちは紺野昌彦です。

僕は月の半分以上が日本国外に滞在しています。中国、香港、台湾、タイ、カンボジア、インドネシアと移動する国は約7つの国と地域。

皆さんも多くの報道で中国の経済発展や開発の速度、東南アジア諸国の経済発展についてはご存知のことでしょう。おそらくはこれまでの文明の持つ例以上の発展の速度でしょう。そんなメカニズムを検証して見たいと思います。

僕のよく行くタイやマレーシアは近い将来には所得水準で先進国入りすると、IMFの予測試算もありますし、インドネシアも2040年以降にはGDPで日本を上回る経済規模になるとか。

すでに中国には日本はGDPは抜かれていますし、逆立ちしても日本は中国には追い付くことも出来ないでしょう。

インドやバンクラディッシュもなかなかの勢いで経済成長していますし、成長力による弊害である大気汚染度ではインドは中国以上だったりもします。

もちろんこれらの弊害で発生する乱開発や大気汚染などの問題もありますが、これらの議論はまたの機会にゆずりますが、ひとつだけ言うと日本もかつては全く同じ過程を経験、通過しているわけでもあります。

1960年代から80年代初頭までの高度経済成長期には、日本もGDP成長率も銀行金利も7%前後でしたし、それに付いて歩く乱開発や公害も今の新興国と変わらぬ規模や頻度だったでしょう。

今でこそ過去よりも技術革新も進んでいるので、ひょっとすると当時の大気汚染や公害は今の新興国以上だったかもしれません。僕と同世代かそれ以上世代の皆さんは記憶にあるのではないでしょうか?

日本の大きな公害問題であった、四日市ぜんそくや、阪神公害訴訟、水俣病問題など高度成長の過程で発生する公害の影響は頻繁でしたし、雪印の大樹工場での廃棄物ミルクの使用問題、ダイセル科学工場大爆発事故などもあり、食品の産地偽装なども日本でも日常会話茶飯事だったのは記憶にあるのではないでしょうか。

今の中国をはじめ新興国で起きている問題も、かつての日本と同じように多いわけで、今の経済低成長の日本で、日本の産業が海外に出て空洞化も目立つ日本で、熱さのど元過ぎればなんとやらで、日本人はお高く止まって新興国の乱開発や大気汚染、製品クオリティを批判しているわけで。。

このような経験を積み重ねて、それぞれの国でも同じように民度もリテラシーもヤケドしながら上がっていくのです。かつての日本もそうであったように。

 

さてさて余談が長くなりましたが、新興国の経済発展が異常に早く、かつて日本が経験した勢い以上なのは、皆さん気付いているでしょうか?

もちろん発展だけでなく、それに必ず付随する問題も同様です。

どういうことかと言うと、例えると日本人や欧米人も幼稚、小学校、中学校、高校、大学と順当に学び成長してきたわけなのですが、新興国はいきなり高校からスタートしているようなイメージです。

もう少し実例を例えてみると、電話でもそうです。数世帯にひとつの固定回線電話時代から、一家に1回線の固定電話になり、ポケベルになり、ガラケーになりスマホとなって来たわけです。

パソコンでもそう。数少ない人が持っていたデスクトップPCから一家1台近くまで普及して、ノートパソコン、タブレット、スマホに移行してきました。

回線も電話回線、ISDN回線、光、Wifi、2G、3G、4Gとリテラシーを上げつつ、そしてそれに合わせたインフラ投資や、それに合わせたマーケットが数年、数十年を経て形成されるわけなのですが、新興国ではいきなりスマホの普及段階からスタートしたわけで、固定回線電話やデスクトップ普及など先進国が経験してきた過程を大幅に飛び越えたリテラシーと、マーケットを獲得しているわけなのです。日本なんてまだデスクトップだけ、まだノートPCだけなど、どこかの時代やリテラシーも止まっている人もいるわけで。。

当然情報のスピードも新興国は、今のネットで情報を探し出す環境からのスタートが当たり前の速度であって、時代遅れという世代や世帯が存在するのがまるで少ないのが特徴だったりもするのです。

実例を重ねて例えると日本だとご年配がスマホ決済なんて考えにくいですよね?中国だと老人でもアリペイやwechatペイなんてごく普通ですし、通話や意思疎通もSNSです。強いてはホームレスですらQRコードで物乞いしている光景すら見るくらいです。

新興国はこれが当たり前からスタートしているのです。

こんな背景だからこそ、中国ではスマホでの電子決済が凄いスピードで普及し、自然に当たり前にご年配まで日常使用して、レストランの待ち時間お知らせもスマホでQRコード読んで、自動で「○○分待ち時間です」と出るのも標準化されるわけで、それに違和感も感じなく当たり前に受け入れられる精神環境の違いが、大きく差を付けているわけです。ちなみにこれを普及させたテンセントという企業は時価総額でトヨタ自動車の3倍規模の上場企業にまで成長しています。

たまに日本人が、中国は偽札が多いから電子決済を普及させているとか言う人もいますが、そんな馬鹿げた理由じゃなく、環境やリテラシーのスタート地点がそもそも違うのです。

当然これは中国だけに限ったわけではなく東南アジア、すなわちASEAN諸国も同じなのです。

インドネシアに関しては最大キャリアーのインドネシアテレコムなどは、契約回線(スマホ)が1億8000万回線ですからね。イコール、ネット広告や、ネット上のマーケットがいきなり出現したに匹敵するわけなんです。一般家庭でのテレビ普及の速度より早いわけなのです。

このような背景からインドネシアではマーケットを国外企業に取られない措置としてYouTubeを締め出す政策に乗り出したりもしています。

同業の国内産業が成長する前に、YouTubeやGoogleなどに市場シェアが取られてしまう事に対する保護政策でしょう。

そう考えると少しは頷けるし、中国がGoogleやfacebook、YouTubeなどにアクセスさせないのも国内シェアの保護政策がスタート地点だったと少しは理解もできます。

もちろん今となれば中国の技術力もリテラシー、産業蓄積もかなり高まったので、近い将来はこれらの市場も開放する可能性も高いでしょう。

日本人は自分を棚の上に上げますが、日本も中国と同等レベルで保護政策国なんですがね。。

あ、基本は僕は新自由経済主義なので保護政策には賛同する立ち話ではありませんし、政府介入も不要と考えていますが。。

紺野昌彦

紺野昌彦

さてさてこの例えは、携帯やスマホ、そしてITに関してもですが、当然それ以外のすべてのものに当てはまるでしょう。経済が一定規模に成長しつつあり、所得もそれに応じて上昇しているところに、すでにLCCと呼ばれるローコストのエアラインが普及していたり、マイカーを持つ世帯が増える速度もそうですし、それぞれの国内でも交通渋滞の緩和やインフラ投資のために急ピッチで鉄道網が複数されていたり、それに連動した地価上昇が発生したりと、これが段階を置いてではなく同時平行なのが今の新興国なのです。強いて言えばハイブリッド化、電動化、自動運転化も同時平行なんですよ。

現地で肌感覚で接するから見えること、感じることはかなり多く、日本人ももっともっと海外に出てリアルに感じてもらいたいものです。

僕が海外不動産や海外投資に大きく比重を置いているのは、半分は日本が日本人がかつて経験してきた過程が新興国にはあるからで、予測しやすく投資しやすいと感じているからなんですね。

つづく。

紺野昌彦

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