紺野昌彦のコラム・やっぱり香港は便利
こんにちは紺野昌彦です。
定期的に香港の記事を書きますが、最近Facebookで香港についてのメッセージも多いので、おさらいまでに。
かつては自由貿易都市として繁栄した香港ですが、現在は少し窮屈になっています。
それはアメリカでソーシャルセキュリティーナンバー制度が導入さえて、米国や多くの先進国から香港は、租税回避地として圧力がかかったことがありました。
また日本でも日本型ソーシャルセキュリティー制度でもある、マイナンバー制度が導入されお金の移動に大きく制限がかかったのも背景のひとつに挙げらえるでしょう。
2年ほど前には香港は外国人でも簡単に銀行口座も開設でき、法人登記も簡単で(法人登記のみは今でも簡単)した。
ですが現在は、日本人が香港で口座を開設する場合は、香港IDがない場合は、日本のマイナンバーが必要になりました。
また法人口座も実際に商取引をしている実態証拠(バランスシートや、日本の通帳、メールでのビジネスの実態など)の提示も必要となり、実際に本当にビジネスを行っている会社や人の場合は問題はないでしょうが、租税回避のために新たに香港域内に法人を設立するのは難しくなりました。
また多少の方法はあうようですが、それは今回は割愛致します。
それでも香港が便利なのは、実際にビジネスをおこなっいる実態ある企業だとその恩恵は大きいでしょう。
法人所得の最大化税率は16.5%と日本と比べるとはるかに税率が低く、自由貿易都市なので関税はほとんどの品目(一部例外あり)が関税が非課税。
そして複雑な税制でなく簡易課税制度である。域外利益の香港への持ち込むは課税対象外と大きなメリットがあります。
わかりやすく説明すると、香港の領土外で発生したビジネスの利益を香港域内の会社で決済した場合は非課税となります。なので香港外で発生したロイヤリティーを香港で決済する、国外のコンサル契約の報酬を香港で決済するのも課税対象外の利益となります。
ユニクロのファーストリテイリングや味千ラーメンなどが香港で上場させたのもそのような理由からなのかもしれません。
もちろんインカムゲイン(株式配当などの投資の利回り利益)も非課税、そしてキャピタルゲイン(不動産売買、FXの所得)なども非課税なのは大きな魅力のひとつでしょう。ただ今はこの投資目的だけの法人設立は非常に厳しくなっているので多少のテクニックは必要でしょうが。。
※海外のウォレットやFX口座、証券口座を使っていても、日本に住んでいる場合は、日本での申告義務と課税義務があるのでお忘れなく。
これを怠ると追徴課税とひどいときは重加算税の対象となります。
一番肝心なのは、日本に住んだままでこの香港の恩恵は受けることはできません。
日本非居住の日本人になることが、一番大切な条件となります。
日本から海外に住民票を転出させて在外交官事務所(大使館、領事館)などに転出届を出して非居住者になることが一番の条件です。海外居住の日本人となり満2年が経過したらある意味怖いものなしです。ですが日本に年間181日以上滞在すると、住民票がなくても日本国内のサービスを受領したことになり課税対象となります。
もちろんビジネスの実態のすべてが日本にあるままでも日本で課税対象になる場合も大きいのでちゃんとチェックが必要なのでお忘れなく。
今では完全なグローバルスタンダードな時代です。
国や地域を選ばずに自分にあった環境や条件でビジネスを行うことは普通のことになりつつあります。
また北朝鮮の問題や、為替の問題などいろんな状況が目まぐるしく変化しているのも現在の大きな特徴かもしれません。
なので複数の通貨での所得を持つ、また複数の通貨で資産を形成するのはこれからのグローバル社会では重要なことなのかもしれませんね。