ASEANの不動産投資ではどこが面白いか?

ASEANはやがてAECとして経済統合が期待されます。 現在ASEAN(AEC)の経済は踊り場に差し掛かった感も否めまえんが、今後の成長株であるのは間違いないでしょう。

現在は再び円高の影響もあり海外不動産も顕著な動きに回復しつつもあるようで、今回はそんなASEAN加盟国の中でどの国の不動産が面白いか検証してみました。

ASEAN(AEC)に加盟する国々は皆さんもご存知のとおり、シンガポール、マレーシア、タイ、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスとありますが、この中で外国人が不動産を購入できる国は限られています。 現在の王道はマレーシア、タイ、カンボジアでしょう。

一番はじめにASEANでの不動産投資でメジャーになったのは、マレーシアです。 マレーシア不動産 マレーシアは2006年12月の法改正によって外国人の国内不動産の購入規制を緩和し、政策として外国人による不動産所有を認めました。 このような背景からマレーシア不動産が日本人にブームになったのは2010年から2012年頃がピークでしょうか。当時マレーシアはシンガポールに次いで経済成長力が高く、ASEANの中ではGDP比で最初に先進国入りすると言われた国でした。

マレーシア不動産の大きな特徴は土地付きの戸建住居が外国人でも購入できるということでしょう。 また経済成長も、経済政策もまずまずでクアラルンプール、ジョホールバル、ペナンと日本人にも人気があり、特にKL、クアラルンプールとジョホールバルは日本の海外不動産販売業者の多くが売り出しているのもあり、海外不動産としての知名度は一躍上昇しています。

ただマレーシアは外国人が不動産を取得する際には外国人価格が法令で設定されています。
ようするに現地人での現地プライスでは不動産は購入できないデメリットがありました。もちろん現地価格のものでも外国人の設定投資価格より高額な不動産物件だと購入は可能でで、その額は当時日本円で約1400万円と比較手にリーズナブルなお値段が魅力でした。

またマレーシアに居住しない非居住外国人でもマレーシア国内の不動産を購入する際にマレーシアの銀行融資(日本に住んだままで日本の所得証明で日本国内の与信と無関係)が可能という政策から、諸外国人による過剰な不動産投資が続く環境がありました。 そして2014年に外国人が購入できる不動産価格の最低価格がマレーシアの州別に大幅に値上げされた背景があり、これ以降、マレーシアの不動産の外国人投資熱は減少しています。

マレーシアの不動産外国人価格 例えばマレーシアのセランゴール州(マレーシア)では、外国人による不動産の最低取得価格が200万リンギット、日本円で約6,700万円と高額になり、そのほかの州でも2000万円から3000万円に上昇し、投資需要から大幅に実需(移住目的)に転換しています。 実際に現在のマレーシア不動産の同行は、バイアウトしたくても売り先が決まらないなどと出口が不透明になっている感が否めません。 先日香港の大手投資顧問会社コンボイの不動産部門のトップと情報交換した折に、マレーシアで取得した不動産の転売希望が多くあるが、実際に成約に至るケースが非常に少ない。昨年度は転売申し入れいに対して実現はゼロベースであったと伺いました。

タイ不動産 先ほどのマレーシアの人口は約2900万人、それに対してタイ王国は人口が約7000万人と約倍の人口をもつ国で、ASEAN(AEC)の中でも産業蓄積も最も高いのが特徴です。 特にタイの首都バンコクは、住民票ベースの人口が約800万人で地方や隣国からの出稼ぎ労働者人口を含めると1200万人とも1400万人とも言われるASEANの摩天楼です。 この人口の流入数はバンコクが今後ASEAN(AEC)の中でも中心となりハブ都市としてさらなる発展をなす大きな目安なのかもしれません。

また多くの日本人がタイへ旅行した経験を持っていることでしょう。
そのような背景から日本人にとってタイは身近な外国でもあるかと思います。 タイの不動産は、マレーシア不動産とは異なり戸建ての土地付き住宅は購入できません。
コンドミニアム、日本いうマンションの区分所有のみ購入できるのが大きな特徴でしょう。
タイはマレーシア不動産のブームの後半ごろ、ちょうど2012年頃から脚光を浴びつつありました。
まだ日本人向けの販売は目立ってないのもありました。その理由は価格が安価であることから、不動産の販売業者が不動産の売買手数料の額面がそれほど大きくなかったのがひとつの要因なのかもしれません。

またマレーシアは英語での諸説明が可能で契約書も英語が可能な背景もありますが、タイは基本は契約書はタイ語多く、タイ国内の不動産事業者の多くもタイ語ベースであったのも、花開くのがそれほど早くなかったのかもしれません。 タイ不動産はマレーシアのような外国人価格の設定はありません。
基本は現地で販売される価格で外国人も購入できます。 ただし外国人が購入する場合は、第三国から購入する資本を銀行送金でおこなうという条件が定められています。 なので外国人が比較的、タイで不動産(コンドミニアム)を購入しやすい状況はマレーシアより高いかもしれません。

実際にバンコク都内の不動産では、タイバーツで200万バーツ台からコンドミニアムを購入することが可能です。 日本円で約700万円前後くらいからプール、ジム付きのコンドミニアムが帰るのです。実際の賃貸での利回りですが、マレーシアのような外国人価格の設定がない分、マレーシアよりは高いようです。 マレーシアは3%前後(外国人不動産価格改定後購入利回り)に対してタイは6%前後での運用が可能なようです。 単純な計算ではありますが、購入価格が低く、運用利回りが高いのはタイに軍配が上がります。 また対不動産の将来性はASEAN統合後にAECが誕生しますが、その中で タイの首都バンコクがASEANの中では地政学的に見て中心的な都市となることは間違いないでしょう。
このように日本でいう東京的、アメリカでいうニューヨーク的な不動産ポジションを取れるのは、バンコクなのかもしれません。

カンボジア不動産 ASEANの中では後発的な不動産ブームとなったカンボジア。

カンボジアは日本人の海外不動産ブームの中では2013年頃から活発になった印象があります。 カンボジアは人口こそ1600万人と多くはありませんが、人口が約9000万人のベトナムと人口が約7000万人のタイに挟まれた環境があります。
ASEAN(AEC)の経済統合に向けた隠れた穴場と2012年頃から日系企業も積極的な進出を見せてきました。
またタイやマレーシアより人件費も安価で地価も安価だった環境もあり、諸外国企業の進出も目まぐるしく、2014年度はASEANの中でGDP比率では民間の直接投資がトップまで上り詰めています。
その結果プノンペン市内の地価の高騰は目まぐるしく、2014年には年間で21%の高騰を見せました。(ナイトフランク社調べ) このような背景からプノンペン中心地の土地の平米単価は実はバンコクと変わらないのも特徴です。
国の人口規模は約1600万人、首都プノンペンの人口が約230万人のASEANの中ではそれほど大きな人口規模ではない都市でありながら過剰な地価の高騰が気になる部分ではあります。
歪な土地価格 カンボジアのもう一つの特徴は歪な土地の価格構造があります。
これは首都プノンペンの中心地でもあるボンケンコン周辺は平米単価が約3500USDほどします。
また金融街でもあるカナディアバンコク本店があるエリアでは平米単価が6000ドル以上と、日本の地方都市並みの高さなのですが、プノンペン市内中央を流れるメコン川の対岸に渡れば20ドUSDから100USDとまだまだ安価なお値段。
ちなみに6000USDと値が張る中心部からのメコン川の対岸は直線距離では10kmはないでしょう。
もちろん鉄道網、道路網がまだまだ未成熟のカンボジアですので、機能が集中する都市部こそ価格の高騰が見られるのは至極当たり前な現象でもあったりもするのですが、不動産への投資となれば現状の価格まで高騰していることを考えれば少し魅力に欠ける時期に差し掛かりつつあるのかもしれません。

プノンペン中心部でのコンドミニアムの平米単価 約3000USD=約35万円 ※外国ディベロッパーの中規以上のプロジェクト バンコク都内中心部でのコンドミニアムの平均単価 約20万バーツ=約60万円
※トンローからサイアム周辺にかけて バンコク郊外でのコンドミニアムの平均単価 約10万バーツ=約33万円
※BTSオンヌット駅以降ベーリン駅までの価格 このように比較すれば、プノンペンがいかに高騰しているのかがわかるかと思います。人口規模も都市機能もバンコクとは比較になりません。

ただ将来のポテンシャルがないわけではありません。プノンペンの中心市街地は一定の上げ止めも見られる傾向ですが、国の機能発展や将来性は未発展の分だけ伸び代も多く、まだまだ魅力的なのは間違いないでしょう。 ASEAN各国の不動産の状況は以下のとうりです。

土地付住宅購入  区分所有権      所有権  住宅ローン
マレーシア     ○       ○     ○    ○

シンガポール      ✕(一部を除く)  ○                  ○    ○

フィリピン                    ✕                         ○                 △            ○

タイ                 ✕                         ○                 △           ✕

カンボジア ✕ ○ ✕ △ インドネシア ✕ ✕ ✕ ✕ ベトナム △ △ ✕ ✕ 2014年度世界の都市別の物件価格の高騰率の順位 1位バンコク 2位プノンペン 3位ジャカルタ 4位バンガロール 5位ムンバイ 6位上海 7位東京 8位広州 9位クアラルンプール この用に見てみると、マレーシア不動産、タイ不動産、カンボジア不動産で見てみると、軍配は1位はタイ不動産で2位がカンボジアなのかもしれませんね。 あと香港は2014年は不動産価格はマイナス成長でした。 統計:Knight Frank社調べ。Knight Frank社の指標はJETROなどでも使われている指標です。

紺野昌彦オフィシャルブログ

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