AEC誕生でASEAN経済を生き抜くために

AEC誕生でASEAN経済を生き抜くために

ASEAN共同体AECとして経済統合される最終段階に入っています。

AECとはASEAN加盟10カ国が経済統合する際の名称で、2015年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合によって、人口6億人という新しい貿易圏「ASEAN経済共同体(AEC)」が誕生します。

このBlogでは、東南アジアの各国より生の情報を共有するために開設したブログです。ASEANだけではなくASEANを取り囲む、経済大国中国、台湾、香港などの中華系各国と地域、またそれらの経済との相関関係などにも注目していきたいと考えています。

もちろん個人的主観に基づく内容も多くございますが、タイを中心に18年間アジアの国々を見てきた実績と感覚で書き続ければと願います。

AECとはASEAN加盟10カ国で形成されます。

そもそもASEANは、1967年の「バンコク宣言」によって設立された地域連合で設立当時は、タイ王国、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5カ国でした。その後1987年にブルネイの加盟を皮切りにラオス、カンボジア、ミャンマーなど順次加盟して現在の10カ国の構成となった流れです。この統合後の総称がAECです。

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AECが発足するとどうなるか?

AECの発足が実現すれば、ASEAN域内の経済自由化が加速します。

マーケットととして約6億人人口のASEANは、現在経済成長の最中であり人口は増加期に入り今後人口ボーナス期を迎える国も多くあります。※人口ボーナス期とは国内人口がピークに達するという意味です。

また高い経済成長は、国民の所得を豊かにし徐々に先進国水準に近づきつつあります。その中でもシンガポールは既に大半の面で先進国の基準を満たしており、次にマレーシア、タイ王国の順で先進国入りすると言われています。そうなるとAECの中から先進国が3カ国誕生することにつながります。

特にAECの誕生は「ヒト」「モノ」「カネ」「ジョウホウ」「サービス」が今以上に行き交うことになり、加盟各国の経済活動のスピードは今まで以上に増すことが予想されます。

 

目玉の1つが「モノ」の自由化

市場統合に大切な要素として物の移動の自由化が挙げられます。それには関税撤廃が不可欠ですが、AECの誕生の目玉のひとつとして関税の撤廃が含まれます。

現在大きくASEAN域内に交通インフラの整備が進んでいますが、これは東西回廊、南北回廊と行った統合後の交通網整備の一環でもあるのです。先日カンボジア国内でメコン川に架かる大型の橋梁(160億円規模)のネアンルック橋(通称絆橋)が開通しました。この計画は日本のODAによる開発で、完成によりベトナムの経済都市ホーチン市からカンボジアの首都プノンペンへ完全陸路により大量の流通を可能となります。

またこのままベトナムのホーチミンからプノンペンを経て、タイ、バンコク、そしてミャンマーのダウェーまでの交通整備は今も着々と進んでいます。

 

ヒトの往来の自由化

AECの誕生で「ヒト」の自由化では熟練労働者の移動が解禁となり自由となります。現在失業率の高いミャンマーやカンボジアは失業率が高い理由として産業蓄積がまだまだという現状が挙げられます。また隣国タイではASEAN随一の高度な産業蓄積がありますが、慢性的な労働者不足も深刻な問題となっています。ちなみにタイの失業率は昨年で1.2%とかなり低い水準です。

この部分の是正だけでもタイ、カンボジア、ミャンマーだけで見ても十分な効果が見られるのだはと考えています。所得水準でもカンボジア、ミャンマーはタイの半分以下でもありますし、隣国からの労働力の流入は、仕送りにもなり両国だけみても大きく外貨獲得にもなるでしょうし、高度な技能を持った労働力を育てる素地にもなるでしょう。このこと自体がASEAN全体の労働力、技術力の底上げに繋がるでしょう。

また英語力の堪能なフィリピンは既に出稼ぎが大きな外貨獲得のひとつともなっていますが、AEC誕生でリリースされるASEANパスでの人口移動が解禁になれば、さらに拍車がかかるでしょう。またASEANではトップの人口を誇るインドネシア(約2億6000万人)は安定した労働供給と化する可能性もあります。

 

サービスの自由化

サービスの自由化ではAEC内での資本の融通(出資や投資)の加速が期待されます。この部分はまさに「カネ」の部分でしょう。また交通インフラの拡充はロジスティクス網などのサービス拡充にも繋がり、さならるマーケットの広がりと派生産業マーケットの拡大が期待できます。また先進国からの進出のみではなく、ASEAN加盟国企業でもコストの削減や、関税撤廃によるマーケット拡大も期待が持たれているところです。

このようなASEAN域内の企業の成長は株式マーケットにも大きく反映されることでしょう。現在でもASEANの株式市場は大きく成長の一途をたどっており、大半の国が前年比より高い成長を見せています。

タイ、インドネシア、フィリピンが20%台の成長率で、シンガポールが5.6%、ベトナムは6.7%といずれも高水準。

株式市場の統合

AECの誕生で、ASEAN各国の証券取引所の相互延滞が強化されます。証券取引所の統合とまでは行きませんが、複数株式マーケットが一つの取引所でおこなえるイメージでしょうか。

ただ1つの市場として統一されませんので、投資家や企業は市場を気軽に選択できる状況になり各国市場の競争は事実上激化が予想されています。すでにタイ、マレーシア、シンガポールは連帯完了ですが、そろそろでしょう。(カンボジア、ミャンマーは後発参入でしょう)

 

果たしてAECは本当に2015年に発足なるか?

実はこれまでにAEC発足に向けた協議は二転三転している背景があります。

2003年10月の第二ASEAN協和宣言では、2020年に地域統合を推進するASEAN経済共同体(AEC)を創設することが採択されました。もちろんASEAN各国首脳の合意です。

2007年1月のセブ宣言では、AECの発足は2015年初頭に早める事が決まり、それに合わせた調整が進みました。

20012年11月のASEAN首脳会議ではAEC誕生は実質1年の延期で2015年12月と先送りになった経緯があります。

もちろん期待の声のほうがトーンが大きいので、各サイトではAEC発足についてやASEANの経済統合などの様々な記事を目にしますが、実は否定的に見られているケースも同じくらい存在しています。

否定とはAECそのものの否定ではなく、2015年には事実上無理だろうという論です。

実際、発足へ向けた報道の量の少なさからどこまで調整が進んでいるのかは不明ですし、実際に経済格差の大きい各国での調整は至難の技なのかもしれません。ベトナムなどは関税撤廃は部分的に段階を置いてというのが本音のようです。

また先進国の大手企業のアンケートでは大半が2015年には事実上難しいだろう。という回答を出しています。

米国の動きは、経済界も同じような疑問視ですし、昨年発生したタイの軍事クーデターが現在継続しているタイに難色を示しているとも言われています。

アメリカの政治的スタンスからAECの誕生の首脳一同の記念写真にタイだけ軍人というわけにも行かないのでしょう。

またタイの国王の健康問題もあるかもしれません。タイ国内には至るところに王女の写真が飾られ、そろそろ心づもりをと国民に促しています。

今後のASEANの統合、AECの誕生がいつになるのか。注意深く観察して行きたいと思います。

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紺野昌彦

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2 Responses

  1. 2015-06-26

    […] AECの誕生で「ヒト」「モノ」「カネ」が活発化 […]

  2. 2016-09-22

    […] ASEANはやがてAECとして経済統合が期待されます。 現在ASEAN(AEC)の経済は踊り場に差し掛かった感も否めまえんが、今後の成長株であるのは間違いないでしょう。 […]