2030年度の日本の新設住宅着工戸数は53万戸に減少
2030年度の日本の新設住宅着工戸数は53万戸に減少
現在、日本の空き家率は800万戸という指数が昨年9月に総務省より発表された。
総務省の出した指標は、2013年で全国で13%と高い指数だった。(平成25年度総務省調べ)
全国一空き家率、空室率が高いのは福井県のようだ。
これらは日本国内の地価や物件価格も東京などの大都市部以外は、毎日が最高値で日々価格の下落傾向になっており、固定資産税や維持費用が重くのしかかることになるので、都内などの中心部への不動産の買い替えにシフトしたりと都心部の中各部が高まり郊外つまり外が下がる現象に拍車が掛かっているのも今の特徴だろう。
このような背景から資産の海外分散という意味合いもあり、日本人の海外不動産への投資が増加傾向となっている。
2023年の指標だけでみると、人口減少からなる世帯数減少もあり、それまでの新たな建設需要も少なからずあるので、総住宅数は約6640万戸と予想され、そのうち空家の数は1397万戸と現在のカンボジアの人口に匹敵する数が出されている。
人口が最大となる人口ピークを2008年に迎えた日本は現在、徐々に人口の減少を始めている
現在でこそ1億2000万人の人口規模、マーケット規模の日本だが、国立社会保障・人口問題研究所では、人口が2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人になるとの予測が立てられている。
ASEAN(AEC)等に企業がマーケットを求めて流出しているのもうなづける。
一昨年前の消費税増税では、不動産、建設業界は増税の駆け込み乗車需要で大きく業績を上げたが、その後の国内マーケットの収縮は避けられない。
野村総合研究所のリリースした情報では、日本の住宅需要の2030年度の戸数は、バブル崩壊後のピークであった1996年度の約163万戸と比較すると、ほぼ1/3の水準に相当にまで減少するという指標を出している。その戸数は実に53万戸。
消費税率が10%にアップすることが見込まれる直前の2016年度には、駆け込み需要の発生で新設住宅着工戸数が約92万戸となるものの、2020年度には約76万戸、2025年度には約64万戸、2030年度には約53万戸と徐々に減少していくことが見込まれる。
先だっての記事で紹介した三菱地所や三井不動産などが、新興市場を求めてタイの不動産事業に進出していることがうなずける。
不動産開発の進出は何もタイ不動産だけではない。中国や香港、カンボジア、ミャンマーなどアジア圏全体での動きで、タイでの事例はほんのひと握りだろう。
では新築ではなく、リフォーム需要を見てみると、新設住宅着工戸数の減少が見込まれる一方、リフォーム市場は「住宅の長寿命化」などに伴い、拡大することが期待されているが、現状の趨勢が続いた場合には、大きく市場拡大することは難しく、リフォーム市場規模は2030年まで、年間6兆円台で横ばいに推移すると野村総合研究所は予測している。
事実上人口減少による住宅需要の減少が大きな要因だろう。
これと比較して、タイの不動産の例として比較すると、先週タイで販売されたコンドミニアムの例だが、㎡単価が2万バーツ(約7万円)で約100ユニットある高級コンドミニアムは、発売日初日で戸数の約60%が制約に至る好評ぶりだ。
タイも日本と同じく人口ピークを終え、少子高齢化がスタートしている。だが大きく違うのは隣国と陸続きであるのと、国境を面する、ミャンマー、カンボジア、ラオスは現在経済成長の真っ只中で、ASEAN(AEC)の経済統合を控え、広域マーケット化することが予想されているので、ある意味では自国の人口以上の流動人口による住宅事情を迎えることになる。
日経平均が20000円を超え、好景気の様相の日本だが、人口減少による空洞化は少しづつ、日本のマーケット構造を変えている。