香港の不動産高騰と物価上昇のメカニズム

香港の地価高騰と物価上昇のメカニズム

こんにちは紺野昌彦です。

香港にはここ数年通っていますが、5年前と現在では物価が大きく異なったことが体感できます。特にここ3年ほどは大きく上昇した感が。

香港自体の人口の増加、そして流入する資産に比例して消費者物価指数が大きく上昇するのは普通の現象ですが、これよりも傾斜が大きく跳ね上がってるのが香港の不動産価格。
香港の中国返還時期から2014年にかけては実に4倍の価格にまで高騰しています。

これの香港の不動産価格と比例して成長したのが、メインランド中国の経済です。
中国は改革開放政策以降飛躍的な伸びを見せました。深セン、福建省の厦門、上海、天津、広州を中心とした、いわゆる華南経済圏が特区として市場経済の先行導入がとしてスタート。その後市場経済は1992年から中国全土での動きとなり、市場経済の先行都市は中国の経済発展の牽引役となって来ました。この中国経済の成長はそのまま香港に反映されたのが大きな要因でしょう。

中国の経済成長の鈍化は、2013年頃より顕著になって来ましたが、中国全体での平均所得の上昇や地価の高騰は、留まるところを知らず、平均所得の上昇と共に中国人の資産に対する考え方やリテラシーの向上にも大きく反映されて来ました。これは中国からのこの富の国外への流出となり、現在の中国での問題のひとつとなっています。その流出先が香港への不動産投機だったのです。

香港の人口はイギリスから中国へ返還された当初は460万人台でしたが、現在は約800万人で、増加分の大半が中国からの流入人口になります。
中国と香港は一国二制度もありメインランドの中国人はノービザで気軽に香港に入域できることもあり、陸路での往来も大幅に増加。一応、中国と香港の間にはイミグレーションがあるので、このような背景が香港のインバウンド数を数字上大幅に増加させせ、2010年以降観光客の増加で香港が世界ベスト3入りした大きな要因となったメカニズムでもあります。

このように香港は富を得た中国からの預金先となり、中国で一定の資産を有した人は、その資産で香港の永住権を得て(現在香港の永住権を取得するには日本円で1億円以上の不動産、金融資産を香港域内に持つことが義務付けられている)不動産投機、金融商品として運用され現在の香港の形成にも繋がっています。

香港人口増加率

香港人口増加率

中国人1人あたりのGDP増加率

中国人1人あたりのGDP増加率

この2つのチャートは、香港の人口増加率と中国のGDPの増加率を比較したものですが、ここ数年の中国のGDPの伸びがそのまま香港に反映さえています。
また香港政庁は3年前より外国人(中国人を含む)の不動産取得に15%の課税を課しました。税率の低い香港では異例の措置ですが、増加する中国からの投機マネーに制限をかけて、不動産価格の上昇を抑制する政策を打ち出しています。また一昨年より香港永住ビザの発給に制限をかけましたが、これは増加する中国からの人口流入の制限とも言われています。
また昨年2016年の4月中旬より中国から香港への入域規制がスタートしました。この制限では中国人は1ヶ月に1回(滞在7日)しか香港に入域できなくもなりました。
中国人の香港での爆買いの制限措置でもあり、香港の物価高騰の抑制措置でもあります。中国人の所得の増加で押し寄せる波と化した流れを制限しなければ、コントロール不能にも陥る可能性もあり、また従来の香港人の生活圧迫も問題が顕著になってて、一昨年の香港のデモのひとつの理由にも繋がっています。

以下のチャートは香港の失業率の推移ですが、人口の増加、流入する投機マネーとは反比例して変則的な動きとなっています。

香港失業率推移

香港失業率推移

経済だけで見ると中国人の所得の上昇の恩恵は香港だけではなく、日本へのアウトバウンド増もとして大幅に中国からの観光客が増加しています。中国人が占める割合が香港程大きくありませんが、観光だけでなく様々な産業に派生効果として大きく経済にプラスされてるのは言うまでもありません。
以下のグラフは、日本と香港のインバウンドの内訳比較ですが、日本はこれだけのウエイトで中国からの観光増で恩恵が出ているのは見て取れますが、香港の占める割合は、チャイナマネーでの不動産高騰、物価上昇にまで大きく反映するのが分かりやすく伝わります。

香港のインバウンド内訳

日本のインバウンド内訳

香港のインバウンド内訳

香港のインバウンド内訳

香港のインバウンドは中国からの流入が約77.7%で、香港を訪れる4人に3人は中国人という計算となります。この増加そのものが香港の不動産高騰、物価上昇のメカニズムの要因です。

 

生産国として世界の工場と自負していた中国は、今では一定の所得にも達し消費国とも化しています。それも世界で最大規模となるのは時間の問題でしょう。
中国のバブル崩壊説は、空論にしか過ぎないかもしれません。世界の歩調から遅れて成長した中国の跳ね返りが、これまでの大幅な経済成長であり、現在は安定経済、通常成長となった鈍化と見ることもできます。
今後の中国の経済の安定と、内需、所得の安定が東アジア経済とASEAN(AEC)の経済成長と安定につながるのかもしれません。

来週の米国トランプ政権の発足で、米国と中国の摩擦の見通しも出すでしょう。今後の報道から目が話せませんね。

紺野昌彦

紺野昌彦

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