出国税の導入は富裕層狙い撃ちの課税強化
出国税の導入は富裕層狙い撃ちの課税強化
海外移住者が増加する中まったがかかりそうだ。
2015年7月1日から、いわゆる出国税と呼ばれる国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の制度がスタートした。
香港やシンガポールなど税制の温和ないわゆるタックスヘイブンと呼ばれる国や地域に移住する日本人をターゲットにした税法となる。これらの国や地域には租税条約上、キャピタルゲインに対する課税権が居住国にあるので、これを利用した移住だ。
対象は1億円以上の金融資産を持つ富裕層で海外へ居住地を移す富裕層に対し、株式や投資信託などの有価証券、デリバティブ取引といった金融資産に対し、転出時に資産の含み益に特例的に課税する制度となるので、現在資産が増加中の人は今から海外への資産形成をなす方がよさそうだ。
国内で実際に株などを売買して得た差益(キャピタルゲイン)には20%の所得税が課税される。さらには出国税は株を保有したまま国外に転出する際に、実際に株を売却していなくても、売却したものとみなしてキャピタルゲインに国税分の15%の課税を納めなければならなくなる。
以下は2015年7月3日の日経新聞の記事
2015年の7月3日の日経新聞によると、
「相続増税」スタートの年となった2015年も折り返し地点を過ぎました。相続税の非課税枠(基礎控除)が大幅に減り、多くの家庭に影響するということで注目を集めましたが、実はその裏であまり騒がれることもなく、静かに進行を続けている資産への課税強化策があります。
7月1日からは、いわゆる「出国税」と呼ばれる「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」の制度がスタートしました。のちほど紹介しますが、ターゲットはズバリ「1億円以上の有価証券等」を所有する富裕層です。こうした富裕層を対象とする新たな負担増は、始動間近のマイナンバー制度とも連動しながら、15年に入って一気にトーンを強めているといえるでしょう。
富裕層への課税強化がいよいよ本格的に始まった
「たかだか5%」の上昇ではありますが、その5%が乗ってくる元の所得や資産が非常に大きいという前提があります。実質的に増える負担はかなりのものでしょう。
もうひとつ、重点化されている課税テーマとして「国外」があります。世界にはさまざまな国や地域があり、そこを治める行政機関ごとに多種多様な税制があります。日本より所得税や相続税の負担が軽い、あるいはゼロに近いという国や地域は少なくありません。こうした税制や税率のギャップをうまく利用して、できるだけ税金の安い国で暮らしたい、負担のゆるやかな地域で資産運用を行いたいという動きが出てくるのは不思議ではないと思います。
もちろん「富裕層とその保有資産が、税率の低い国外へ移っていく」というのは、去年や今年に始まった話ではなく、昔から存在していた流れのひとつではありました。国も対応すべく、以前から国外の居住者や国外財産に対して課税を強化するルールの整備を進めています。
しかし、課税には大きな問題がありました。金融機関や行政の窓口などから豊富なデータがとれる国内とは異なり、いったん国外に出てしまったヒトやカネの動きは、そう簡単には捕捉できません。母体となる資産などの情報自体がよくわからないとなれば、いざ税金を取るといっても、なかなか実効力を持たせることは難しくなります。
こうした問題に対処するために、14年からは「国外財産調書制度」が始まっています。非永住者を除く国内の居住者を対象に、5000万円以上の国外資産を保有する場合、毎年、期限内にちゃんとリスト化して、なにがいくらあるかを報告しなさいという制度です。15年からは、調書を出さなかったりウソの記載をしたりした場合の罰則が強化され、ケースによっては懲役刑が科されるという取り扱いまで始まりました。
ただ多くの富裕層は随分と以前から資産の海外分散はおこなっている。
日本の持つ対外資産約700兆円のうち7割は民間の持つ資産となる。多くは企業や金融機関の資産だろうが、仮に1割が個人資産で考えてもその額は7兆円となる。
ASEAN(AEC)の統合を目前とし、資産価値の増加中のアジア諸国は資産の移動に適した国も多い、巨額の資産家の移動は難しくなるだろうが、小ぶりな資産家が家族に名義を分散しての、移住なども多くなるだろう。
海外では日本円で支払い、USD建てでドルで海外で受け取れる積立商品も多く、今後の需要が増しそうだ。
1件の返信
[…] に頼り生きる選択と、自己の責任で生きる選択も必要と感じるこのご時世で、7月に入り出国税が導入された。 香港は海外からの富裕層の流入も増加しているが、逆に生活するには物価も […]